住宅街での薪ストーブが増えています。私の住んでいる土地は新築も多いため、近所では10件を超える数の煙突が確認できます。
今までなかった文化の広まりにより、新たな問題が発生することがあるのは世の常です。薪ストーブに関しても、臭いをはじめとする各種問題が多く発生しています。
その原因の一つとして、薪ストーブの悪い面の情報が不足していることも要因と言えるのではないでしょうか。
- 正しく使えば臭いません
- 二次燃焼する薪ストーブなら煙はほとんど出ません
- 弊社ではクレームが来たことはありません
これらの営業トークを真に受けて、住宅街でも「ここは山奥か!?」と思うほどにバンバン使っている人も見かけます。
しかしそれらの裏で、知らない間に強い恨みを買っているかもしれないことをご存じでしょうか!?
それって下手くそに使っているからでしょ!?私には関係ない
そんなことありません。法律を盾にマナーがをないがしろにすれば、誰でも強く恨まれる可能性がありますよ。
本ページでは薪ストーブ利用者を読者対象とし、被害者の憎しみ・恨みと感じる心理をご紹介します。そしてそれが、時に恐ろしいことに繋がりかねないことも知っていただきたいと思います。
薪ストーブ利用であなたは周囲にどう思われているでしょうか?「法律の範囲で適正に使ってるから問題無い」「お互い様」と思っている方も、改めて考え直すきっかけになれば幸いです。
住宅街の薪ストーブで迷惑になる要素おさらい
まずは、住宅街での薪ストーブがなぜ迷惑かを簡単に記載します。より詳しく知りたい方は、説明内のリンク先記事をお読みください。
すでに迷惑がかかること自体を明確に理解している方は次項に進んでくださって大丈夫です。
煙(臭い)
薪を燃やすのですから、どんなに乾燥させた薪を燃やしても臭いはゼロにはなりません。
特に焚き付けの20~30分は目視で確認できる程度に煙が出ます。この時、周囲の家は窓を閉めていても、24時間換気により給気口から室内に煙が入ってきてしまうのです。
室内の煙は20~30分で抜けないため、周辺住宅の室内は1~2時間以上臭います。
これに関しては以下記事もご覧ください。
煙突から煙が上がっているように見える場合も無臭ではありません。煙は大気拡散しながら浮力を失い、地上に降りてきます。また、その時の風向きによっては煙が直接降りてくることさえあります。
住宅街では家同士が近いため、どうやっても周辺住民は多かれ少なかれ迷惑を感じることがあるとお考えください。
特に風下になりがちな家は、下手すると毎日のように煙の被害に遭います。
正しく使えていないから臭うんじゃないの!?
そうとは限りません!
私の最寄りの薪ストーブ宅は、何年も前から薪をびっしり用意し乾燥させています。そして二次燃焼機能のついた薪ストーブ本体を利用していることも確認済み。加えて他家の煙突ほど煙量も多くなく、うまく使ってくれている方だと考えられます。
ですが二次燃焼している時は良しとして、焚き付けの臭いは煙が上がっていてもフツーにかなり臭いですよ。あと、薪の追加時や消化時(おそらく)も臭うようです。
その日の風向きで煙が直接下の方に流れてしまったときは、最強レベルに臭いです。
その他付随すること
- 薪割の騒音、地響き
- 煤じんが近隣の土地に落ちる
- 近隣住宅の給気口フィルターが驚くほど早く黒くなる
- 薪を境界線間際におくことによる虫やカビ
これら細かい事の詳細を知りたい方は、以下のページで詳しく書いていますのでご覧ください。
「うちは苦情も無いから薪ストーブで迷惑かけてない!」という方も、是非以下記事も併せてご覧ください。ご近所問題はセンシティブな問題なため、我慢の限界に来ないとクレームになりづらいものです。
心理面
心理面での迷惑・イライラ感も無視できない要素です。
薪ストーブは、もともとは以下の様な場所で使われていたものだと思います。
- 山奥など薪が無料に近い金額で手に入る地域
- 土地が広大な地域
- 寒さが厳しい地域
それほど寒く無い地域の住宅密集地に、わざわざ遠方から薪を持ってきて焚くという、自然とは言えない行為。それに強い臭いも相まれば、以下の様な心理になります。
なんでわざわざこんなところで使うんだ!?
ぽつんと一軒家で誰にも迷惑かけずにやって欲しい。
利用者にとっては「わざわざ=手間暇をかけて楽しんでやっている」かもしれません。しかし被害者にとっては「わざわざ=こんな場所で迷惑このうえない」と感じているのです。
不幸せなのは被害者だけで、利用者は幸せなのもイライラを助長させる要素です。
憎しみは月日により積み重なるもの
住宅街の薪ストーブは迷惑になる可能性が高い。そのため、近隣住民は迷惑している可能性が高いということをここまで書きました。
それはそれでお互い様でしょ!法律の範囲だし
……と思う方もいるかもしれません。しかし被害を受けている相手からすれば、残念ながらそうは思えないことの方が多いでしょう。
冬場は毎日利用=ほぼ毎日嫌な気持ちになることも
薪ストーブの煙から家ごと逃げるわけにもいきません。そして強制的に止めさせることも基本的にはできません。結果、周囲の住民は我慢を強いられることになります。
しかしながら薪ストーブはシーズン中、日常的に使う方も多いです。私の近所では11月~3月まではほぼ毎日使っています。実際は10月~4月くらいまで使うでしょうか。
なんと1年の半分!つまり迷惑の度合いが半端ないです。
あなたは2日に1度、真隣で1~2時間バーベキューをやられたら、「法律の範囲でお互い様」と思いますか?思いませんよね!?
バーベキューとの大きな違いは、薪ストーブは静かなことくらい。静かなバーベキューを年の半分行われるような嫌な気持ちを、周辺住民は我慢しているかもしれないのです。
もちろん利用者のスキルや設置状況にもよります。しかし私の近所の薪ストーブ利用者は比較的うまく使っていても、バーベキュー並の迷惑度です。
憎しみは積み重なっていき強い憎悪に
割に会わない被害を毎日受けている近隣住民は、迷惑な感情が日々積み重なっていきます。それはやがて憎しみの感情へと変化し、いつしか強い憎悪になっていきます。
いや、その前に普通はクレーム入れるでしょ!?
たしかに、大抵は強い憎悪になる前にクレームを入れることになると思います。
しかし、
- クレームを言われても止めるでしょうか?
- 止めないなら煙・臭いを無くすことはできるでしょうか?
おそらく多くの方は止めないでしょう。法律では認められているものなのですから。
ですが頑張っても煙・臭いをきれいさっぱり無くすことはできません。煙突の設計や薪ストーブ本体はそうそう変えられませんし、周辺の風の流れを変えることもできないからです。
現実的には薪を見直すか、より上手に焚くかですが、簡単に改善は難しいです。それにどうやっても焚き付けには煙が出るのが薪ストーブですから。
結果として状況はさして改善はできないにもかかわらず、利用は止まりません。月日とともに周辺住民には嫌な気持ちが積み重なっていきます。
それが1年・2年と経過していくうちに、相手に対する強い憎悪になっていくのは自然なことでしょう。
これは決して特別なことではありません。信じるか信じないかはあなた次第です。
サイレントクレーマーもいる
和を重んじるのが日本人です。世の中には、クレームを言えない人や、言いたくない人、はなから諦めて言わない人もいます。
ですから誰からも何も言われていないから大丈夫、という理論は全くもってなりたちません。
クレームを言われる・言われないは別問題として、強く恨まれてしまうことは普通にあり得るのです。
けれど憎悪の対象にされても普通は問題ない
ここまで説明したことにより、薪ストーブ利用者の家族全員、憎悪の対象として見られていることは普通にあり得ます。
もしかすると怖がらせてしまったでしょうか?
でも、現実的にはたいして問題にはならないでしょう。大抵の人は理性で行動を抑えていますので、いくら憎んでいる・恨んでいるからといって暴力をふるったり等はしないからです。
ご存じの通り、これが人間とその他動物とが違うゆえんです。
私も心の中では何度も薪ストーブの煙突を破壊してますが、現実にはおくびにも出しません。思うのは心の中だけです。
まれに嫌がらせをするような人もいるかもしれませんが、むしろそんな人の方がしかるべき対処をとりやすいかもしれません。カメラで証拠を撮影して警察に突き出せば良いのですから。
むしろ本当に恐いのは、我慢が大爆発した瞬間だと思います。
我慢の風船が大爆発を起こせば超危険!
我慢は風船のようなものです。理不尽な仕打ち・恨み・憎しみ等の負の感情は、月日とともに、少しずつ大きくなります。
しかし大抵の人は、一定以上に風船が大きくならないような調整機能を持っているように思います。
しかしそれが機能しなくなるほどの事態になれば、大爆発してしまうこともあるかもしれません。ここでは我慢の風船が爆発したらどうなるか、知っていただきたいと思います。
我慢の風船が爆発したらどうなる?
人によって違うとは思いますが、大別すると以下のいずれかのベクトルがあるのではないかと考えます。
- 攻撃的になる
- 精神が病む
1は分かりやすいことですが、2も大変危険です。
大爆発=リミッターが外れるほどの大惨事になる可能性があります。つまりは普段では起こりえない状況になる可能性があるということです。
傷害・殺人事件だって起こりうる
パンパンに膨らんだ風船が大爆発してキレてしまえば、時に傷害や殺人事件さえ起こりかねないことでしょう。
例えば類似要素のあるバーベキューでは、実際に殺人事件が起こっています。以下はニュースサイトの記事です。
上記のニュースを読むと、前々からうるさいと警察に相談していたけれど解決されなかった。それが爆発して殺人事件になってしまったのです。
……薪ストーブも全く同じことが起こりえると思いませんか!?私は思います。
それに、薪ストーブ宅にはただでさえ薪がびっしりおいてあることもめずらしくありません。放火の可能性もありえると考えます。
普通は自分が巻き添えを食うかもしれないような場所に放火などは考えられません。しかしキレてしまえばそこまで頭が回らない可能性もありますし、本当に危ないと思います。
うつ病・はては自殺だって起こりうる
精神が病む方に爆発してしまった場合は、うつ病などを発症してしまう可能性が考えられます。鬱で問題になるのは、最悪自殺まで起こりかねないということです。
自分のせいで人が亡くなったらどう思うでしょうか?もちろん嫌ですよね!?
薪ストーブ被害で心を病むということが理解できない方もいるかもしれませんが、普通に起こりえることですよ。
しかも薪ストーブが使われる冬は、季節性情動障害(冬季うつ)と言い、日照時間が短くなる等の原因により鬱が起こりやすい状態です。
以下、私が経験したことです。
- 相手の顔を見かけるだけで気分が悪い
- 薪割の音や煙で動悸がする
- 相手宅が家を空けているとほっと落ち着く
- 相手宅が帰ってくると落ち込む
- 冬になるとテンションが上がらない、なのに怒りっぽくなる
数年でこれなのですから、あと5年・10年・20年としたら薪ストーブ鬱になるかもしれないと自分でも思うくらいです。
まとめ
お互い様論や法律を盾にして「問題無い」「仕方ない」と言いきりマナーをながしろにすれば、その先には強い憎悪が待っています。
しかしながら、薪ストーブで恨まれているかもしれないと認識している方はどれくらいいるでしょうか?実際には本文内で触れたとおり、恨まれても問題ない&分からないことが多いので、気にも留めないでしょうね。
しかし薪ストーブ問題の辛さを知っている私としては、いつか凄惨な事件が起こることを危惧しています。
残念ながら危惧するどころか、いつかは事件が起こると確信しています。それだけ酷い被害だということです。
薪ストーブ利用者の方は、人ごと・絵空ごとだとは思わないでください。自分が仕事などで家を空けている時に、奥さんやお子さんになにかあったら後悔しきれませんよ。
お互い様論や法律を盾にせず、マナーについて考えること。そして相手の意見にも耳を傾けること(決して言うことに従えというわけではありません)。
住宅街の薪ストーブで憎しみを避けるには、これが最も重要なことだと思います。そうなればお互いにメリットがあるのではないでしょうか。
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