部屋の中まで薪ストーブの煙が充満して臭い……。非常につらい状況ですよね。そんな時、不快感を軽減できる可能性のあるアイテムが空気清浄機です。
実際に私は計4台の空気清浄機を使用していますが、今では無いことが考えられないほど。シーズン中はほぼ毎日稼働させています。
都会に住んでいるときは滅多につける必要はなかったのが、今になって大活躍という状態です(汗)。
ただ、それだけで一口に「空気清浄機は絶対的に効果的」と位置づけてしまうのは早いと思っています。というのも各自の状況により、時に効果を感じにくいこともありえるからです。
その理由は、以下のような要素が影響します。
- 空気清浄機の性能
- 被害状況の違い
- 家の設備の違い
本ページでは、空気清浄機の基本や、有効なケース・効果を感じづらいケースについて。そして選び方や効果的な使い方などについて触れたいと思います。
薪ストーブ対策として、少しでも被害を軽減したい方や、導入を検討中の方のお役に立てれば幸いです。
家庭用の空気清浄機についての基本
一口に空気清浄機と言っても、実際にはいろいろな製品があります。Amazon.co.jpで売っているノーブランドの激安製品から、10万円を超える世界的メーカーの製品までさまざま。
本ページでは、家庭用として一般的に普及している価格帯(高すぎず・安すぎず)の製品を想定しています。それらごく普通の空気清浄機についての基本から見ていきたいと思います。
本ページで取り扱う空気清浄機について
家庭用空気清浄機は、ファンにより空気を吸い込み、その空気をフィルターで通過・処理させる方式が主流です。フィルターには、以下の3つがあります。
- プレフィルター
- 集塵(しゅうじん)フィルター
- 脱臭フィルター
プレフィルターは大きめのほこりやゴミを。集塵フィルターはより小さい微粒子を。脱臭フィルターは臭いの原因分子を吸着・捕集します。
本ページでは、これら3つのフィルターが備わっていること。そして集塵フィルターはHEPAフィルタークラスを。脱臭フィルターは活性炭等を搭載していることを想定しています。
薪ストーブ対策として期待できそうな要素
複数の要素が絡むため、あくまで可能性として見ていきたいと思います。空気清浄機が薪ストーブ対策として期待できそうな要素は、以下の2つだと考えられます。
- 有害物質対策
- 臭い対策
これらに対応する部位が、集塵フィルターと脱臭フィルターです。
集塵フィルター
まずは集塵フィルターですが、本ページで想定しているHEPAフィルターは、以下のようにJIS規格により性能が定義されています。
「定格風量で粒径が0.3 µmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルタ」
引用:Wikipedia
薪ストーブの煙にはPM(微小粒子状物質)が含まれます。PMはPM2.5でおなじみですが、喘息や気管支炎等の呼吸器疾患に影響する有害物質です。
ちなみにPM2.5は2.5µm(マイクロメートル)の大きさ。それよりもだいぶ小さい0.3µm程度のPMでも捕集してくれる可能性があるということです。その他の微粒子状の物質含め、効果が期待できる可能性はありそうですね。
脱臭フィルター
もう一つの脱臭フィルターですが、例えば活性炭には微細な孔があり、臭いの原因分子を吸着する効果があります。その孔のサイズは約2nm(ナノメートル)=0.002µmとのこと。つまりは集塵フィルターよりもさらに小さい物質でも吸着可能です。
ここまで説明すると「めっちゃ効果がありそう!」と思われる方もいるかもしれませんが、あくまでも理論上の話です。実際には、有害物質・臭いが全て除去できるわけではないことに注意が必要です。
フィルターに通せた煙・臭いにしか効果がない
室内に入り込んだ煙や臭いの微粒子等は、空気清浄機に取り込まれるとは限りません。むしろそうならないこともたくさんあります。
例えば衣服・家具・壁・カーペット・カーテン等の繊維に絡まったり、吸着したりなどですね。
これらの物質は、一度そうなってしまうと叩く・拭く等の外部要因がなければ残留してしまうことも。つまりは空気清浄機に通すことができない=効果が得られなくなることを意味します。
また、煙・臭いが空気清浄機にたどりつく前に、人間が吸い込んでしまう場合もあります。煙の流入元~空気清浄機までは距離がありますから普通にありえますよね。
つまり空気清浄機は、無事にフィルターに通せた煙・臭いにしか効果がないということ。また、即座に部屋全体の煙・臭いを処理できるわけではないことに注意が必要です。
空気清浄機は「被害を軽減できる可能性のあるもの」
大事なことなのでここでまとめます。
- フィルターに通せた煙・臭いにしか効果がない
- フィルターを通しても全ての有害物質・臭いを除去できるわけではない
- 即座に部屋全体の煙・臭いを処理できるわけではない
これらをひと言にすれば、空気清浄機は万能のアイテムではないということです。
見方次第では「薪ストーブの臭いや有害物質の除去に効果的!」と言っても嘘ではないでしょう。ですが過大に期待してしまう方も発生してしまいそうです。
そのため「薪ストーブの被害を軽減できる可能性のあるもの」程度に、控えめに考えておくのが良いのではないかと思います。
少しでも被害感を減らし、暮らしやすくサポ-トするものですので、過大な期待はNGです。1台で生活が一変するほどに改善することはありません。
実際に数年使ってみた感想
いろいろと空気清浄機についてご説明しましたが、実際に使ってみてどう感じるかというのも大きいと思います。特に臭いについては、“論より体感”ですので。
実際に数年ほど、複数宅の薪ストーブの煙が発生する環境で使用した感想をありのままに書きます。
私が使用している機種と環境
空気清浄機はメーカーも機種も豊富ですので、まずはそれを書かないと情報の価値がありませんよね。また、どういった煙・臭い環境かも大事だと思いますので最初に明確にしておきます。
我が家はSHARP製のFU-E51-W、FU-D51-Wと、ツインバード製のAC-D358PWを2台使用しています。
いずれもHEPAフィルター搭載で、PMにも対応した空気清浄機。活性炭(おそらく)の脱臭フィルターもついています。
ツインバードのAC-D358PWについては最近購入したものにつき、以下の記事にてご紹介しています(同機種にはプレフィルターが無いのでDIYで付けています)。
臭いに関しては、薪ストーブ密集地なので日頃から軽い臭いなら漂ってきています。最も強い臭いは最寄りのお宅で、主に焚きつけ時に20分ほど臭いがすることが多いです(その後は一度おさまって薪の追加時等にまた臭う)。
我が家は24時間換気付きの住宅で、煙は各部屋の給気口から室内に入ってきます。給気口にはPM2.5対応の給気口フィルターが設置されており、煙はそこで多少フィルタリングされています(その証拠に、画像のように冬はフィルターが真っ黒になります)。
気密性はそこそこあり、サッシ(窓)の隙間など、給気口以外からの煙流入はほぼ感じません。
臭いの低減は効果あり
結論から言えば、臭いの低減は確実に効果があると感じます。焚きつけ時の詰め目の煙が発生し、室内が煙くなってしまった状態にて比較実験を行うと明らかです。
条件として、焚き付けはほぼ終わり、追加の臭いはほとんど無い状態から実験開始。
1部屋は空気清浄機をフルパワーで稼働させます。もう1部屋はそのまま。どちらの部屋も入口のドアを閉めて放置します(共に6畳程度の部屋)。
20分ほど経過後、ドアを開けてみれば“一鼻瞭然”です。空気清浄機のない部屋はまだ明確に臭いを感じます。対して空気清浄機を稼働させた部屋は臭いが分からないほどになります。
ただ、これはフルパワー(かなりうるさい)だからこそかもしれません。弱だとあまり効果は得られないと思います。加えて空気清浄機の性能(フィルター等)も影響するのかもしれません。
私の場合、6,000円弱で購入したツインバードの安い空気清浄機でも、SHARP製と変わらない効果を感じられました(前者は新品ということもあるかもですが)。
有害物質は分からない……が減っているはず!?
臭いが減っているわけですから、臭いの元となる物質(微粒子)も減っている。つまりは室内を漂う有害物質も減少しているのではないかと“推測”されます。
あえて“推測”と書いたのは、個人でそれを確認することはできないからです。
根拠の無いことを軽々しく書きたくはありませんので、ここではこれ以上触れないことにします。……が、空気感の違いを感じるだけでも、綺麗になってそうという心理的な面で違いがありますね。
心理的な安心感に大きな違いあり
空気清浄機を付けていなかったころは、煙が室内に入ってきてしまえば為す術もありませんでした。24時間換気を止めたり、給気口を閉じたり等の小手先の対処はできますが、それは煙の流入量を減らすことだけ。
一度煙が入ってしまえば臭いが抜けるまで待つしかありませんでした。つまり臭いを減少させるのに、頼りになるのは時間だけだったのです。
空気清浄機を設置してからは、「強運転させれば不快感を減らせる」という心理的な安心感を得ることができました。能動的に何かできるという気持ちで違うのでしょう。
最初は2台でしたが、さらに2台追加し、現在合計4台。ほぼ主要な部屋に置いてある状態ですので「臭くなったらすぐ中~強にすれば良い」という心理的な安心感がより強くなりました。
実際にはこれまでに書いたとおり、空気清浄機は薪ストーブの煙に対し万能ではありません。あくまでサポートです。
しかし心理面においては、個人的にはなくてはならないものになっています。
一人暮らしだったらまだいいのですが、妻や子供にできるだけ有害な煙を吸わせたくないという気持ちが根源にあります。
空気清浄機の効果が感じられにくいケース
私の環境では、空気清浄機の効果も体感でき、有用と感じています。しかし人によっては効果を感じにくいこともあるかもしれません。
それには様々な要因が考えられます。例えば以下のようなケースです。
- 空気清浄機の問題
- フィルターの性能が低い
- フィルターの性能が落ちている
- 風量が弱い
- 煙の問題
- 煙の濃度が高い
- 煙が継続的に入り込んでくる
これらを詳しく見ていきたいと思います。
フィルターの性能が低い
最初の方でも書いたとおり、空気清浄機の重要な部位であるフィルターには、以下の2種類があります(プレフィルターはここでは重要ではないので除きます)。
- 集塵フィルター
- 脱臭フィルター
集塵フィルターがHEPAフィルタークラス(ULPAフィルター等の上位も含む)でない場合、PM2.5に対応していない場合があります。フィルターの性能が悪ければ、すり抜けてしまう微粒子が増えてしまうのは仕方ありません。
脱臭フィルターの活性炭の質や量なども影響があると思います。例えば私が利用している空気清浄機でも、形や多少厚みに違いがありますので。
より厚く密度が高い方が、吸着する孔の面積も大きくなるため、臭い成分を吸着しやすいと考えられます。
フィルターの性能が落ちている
集塵フィルター・脱臭フィルターの両方に言えることですが、購入当初の性能がずっと続くわけではありません。使用すればするほど徐々に性能が落ちていくことに注意が必要です。
特に脱臭フィルターの活性炭は、臭いの微粒子を活性炭の微細な穴に吸着させることで臭いを減少させるという仕組み。つまり活性炭の穴に微粒子が詰まる=消臭機能が失われてしまうことを意味します。
メーカーはフィルター交換の目安年数を設定していますが、その目安内でも徐々に性能は落ちてきてしまうのです。
目安は最高の性能を保証する期間ではありません。加えて使用状況が変われば性能の劣化速度は大きく変動します。
長く使用している空気清浄機を使用する場合は、新しいフィルターに交換すると性能が改善することもあるでしょう。
風量が弱い
空気清浄機の風量(例えば弱・中・強)は、空気清浄機を通す空気量に直結します。
風量が弱いと、空気清浄機周辺のわずかな空気しか取り込んでくれません。部屋全体の空気を短時間に集めて処理することなど到底不可能です。
臭いがきついときは、少なくとも標準以上、可能であればフルパワーをお勧めします。
爆音とのトレードオフの関係となりますけどね(汗)。あとフルパワーの風は寒いです。。
煙の濃度が高い
薪ストーブの煙が臭い。そう一口にいっても、どのくらい臭いが強いかはケースバイケースです。
例えば軽い野焼きレベル(弱い)と不完全燃焼直撃の臭い(強い)では、全くと言っていいほど強さが違います。当然ですが、臭いが強ければ強いほど、空気清浄機の処理能力を必要とします。
少なくとも言えるのは、不完全燃焼が直撃の臭いは空気清浄機がどうこういうレベルではないということです。私も経験したことがありますが、まともに生活することすらままならないレベルですので。
関連事項として、給気口フィルターを併用しているか否かも影響があるように思います。給気口フィルターを通した煙であれば、その時点で臭いのレベルは多少下がるからです。
給気口にフィルターがなかったり、サッシや建材の隙間から直に入ってきたりする煙の場合は、比較的煙の濃度が高い(強い)です。
そういった煙が多く入ってくる場合、期待した効果を得にくいことがあるでしょう。
煙が継続的に入り込んでくる
焚き付けの20~30分ほど強い臭いがして、その後はおさまる。そんな一時的な臭いには空気清浄機の効果が体感しやすいです。
対して煙が延々と継続的に入り込んでくる状況では効果を感じづらくなります。例えば下手なお宅・未乾燥の薪を使用した場合などですね。
最初の方にも書きましたが、煙の流入口(サッシや給気口等)から、空気清浄機までは距離があること&即座に部屋全体の臭いを処理できるわけではないことが理由です。
常に新鮮な煙・臭いが入ってくる状況では、どうやっても空気清浄機を通す前に臭いが鼻についてしまいます。そんな状況では、空気清浄機があろうがなかろうが臭うことに変わりありません。
実際には空気清浄機がある方が室内の煙の総微粒子量は少なくなっているはず=効果がないわけではないと思います。しかし体感としての効果を感じづらいというわけですね。
余談:脱臭機という選択肢も
もしも臭いの除去に満足できない場合は、脱臭機という専用の機器もあります。こちらは臭いを軽減するのに特化したアイテムです。
継続して入ってくる煙については空気清浄機と同じ問題はありますが、脱臭に関する性能は高いようです。
特に富士通ゼネラルの脱臭機は従来より定評がありますので、検討してみてはいかがでしょうか。
効果的な使い方
空気清浄機はスイッチをポチッと付ければそれだけで動作します。しかし少しでもよりよく使いたい……。ということで、個人的に効果的だと思う使い方をまとめてみました。
本当に微力ではありますが、参考にしていただければ幸いです。
臭ってほしくない各部屋に設置する
できるだけ臭ってほしくない部屋というのはありますよね。あたり前と言ってはあたり前なのですが、空気清浄機はそんな部屋に優先して設置することが一番です。
例えば以下のような部屋です。
- 子供部屋(→子供に煙を嗅がせたくない)
- 寝室(→寝具を煙まみれにしたくない)
- ダイニング(→食事中に煙が入ってきてこもるのはいや)
- リビング(→みなが集まるところは空気を綺麗にしたい)
- キッチン・パントリー(→食品や食器を煙まみれにしたくない)
おのおので理由があると思いますが、考えられそうな理由も添えてみました。こういった気になる所に、優先順位をつけて設置すれば効果が高いです。
ただしキッチン・パントリーに設置する際は気をつけてください。空気清浄機は油を含む空気が非常に苦手です。レンジフィルターと同じで、油分で目詰まりしてしまうからです。
お料理中・お料理後に使用すると、フィルターの寿命が縮みますのでご注意ください。
オートに頼らず手動で中~強に操作
臭いセンサーがある機種では、オートで風量を変化させてくれます。例えば臭いが強いときは自動的に風量が上がり、おさまったら下がるといった具合ですね。
であれば臭いセンサーがあれば手動による風量調整は不要か……と言えば個人的にはそうは思いません。
私が利用しているSHARP製の空気清浄機も、たしかに薪ストーブの煙・臭いに反応してはくれます。が、100%思い通りに動作するわけではないんですよね。加えて、弱から中にはなるのですが、強にはならない……(これは機種によるかもですが)。
もちろん意図した通りにオートで動作すれば一番ですが、臭ったら手動で操作する。これが最も確実な方法です。
臭いそうな場合かつ不在にする部屋は、前もって中~強にしておく
しばらく不在にしていた自室に入ったら臭っている……残念ですがそういったことは多いです。例えば食事が終わった後、入浴を済ませた後、リビングの用事が終わった後、朝起きた後等など。
臭いに気づいてから空気清浄機を付けるのと、あらかじめ臭う前から風量を強めに付けているのとでは、不快感がまるで違います。それは体感的なことはもちろんのこと、心情的にもです。
実際に、室内に付着してしまう有害物質の数も違うことでしょう。
臭いそうな時間帯に部屋をしばらく空ける場合は、前もって空気清浄機を中~強にしておく。これだけで不快になる可能性を下げることが可能です。
我が家の場合、特に晩ご飯の料理を作る前~就寝時には、必ず各部屋を「風量中」にして備えておきます。夜は冷え込むので使われやすい&料理で換気扇を付けると大量の煙を室内に取り込んでしまうからです。
焚きつけ時×換気扇使用のコンボには、対策しないと部屋が煙まみれになってへこみますので……。
室内の設置する場所を考える
フィルターを通した煙・臭いしか処理できないのですから、できるだけフィルターに通しやすい位置に配置するのが理想です。単純に考えると、臭いの発生源の近くです。
24時間換気が設置されている住宅では給気口の近く、そうでない場合は例えば窓ぎわなどですね。
ただし24時間換気の給気口は、少し高い位置にあることもめずらしくありません。加えて給気口から廊下に抜けていく空気の流れもあります。
そう考えると、図のように給気口の真下よりは少し離した方が良いこともあるかもしれません。
いずれにしても、できるだけ空気の流れの間に差し込めるようなところに設置すれば、より効果が高まると考えられます。
空気清浄機がある部屋のドアを閉める(複数台ある場合)
空気清浄機を中~強で稼働させている際、必要に応じて部屋のドアを閉めるのも効果的な場合があります。
ドアが開いていると、サッシや給気口から流入する煙・臭いが空気清浄機を通す前に、廊下に抜けてしまいやすくなる可能性があります。
廊下にも空気清浄機を置いている場合など、そうなってもよければ問題ありません。逆にできるだけ空気清浄機がある部屋で煙・臭いをくい止めたいならドアを閉める方が良いでしょう。
もちろんドアを閉めても、ドアの下側は1cmほど隙間があるので室内の空気はそこから廊下に出ます(24時間換気があれば特に)。ですが全開と比べれば、空気清浄機が処理しやすくなるのは想像に難くありません。
不要な時はもちろんスイッチOFF
電気代の観点からも、空気清浄機は一日中つけている必要はありません。臭い時・臭くなりそうな時だけ中~強運転させるだけでも充分効果を感じられることもあるでしょう。
不要な時はスイッチOFFで節電可能です。何も無い時の住宅街は、本来空気清浄機をつけるほどの強い臭いはありませんからね。
私のような薪ストーブ密集地帯ではOFFにしづらいこともありますが、対象のお宅が一戸だけの場合にはこまめに消して節電可能です。
電気代節約だけでなく、フィルターの劣化も最小限にすることが可能なので合理的です。
弱・中なら一日あたり10円~20円の世界ですので、あえて消さないという方法ももちろんありですが。
空気清浄機の導入・維持に必要なコスト
当然のことですが空気清浄機の購入にはお金がかかります。購入後も、電気代やフィルター、時には修理代などの費用が発生します。
ここでは、空気清浄機を利用することで発生する可能性のあるコストを挙げてみます。
本体のコスト
Amazon.co.jpで販売するノーブランドの空気清浄機なら、HEPAフィルター対応でも1,500円くらいから購入できます。例えばこういうやつ。
ただし、HEPAフィルターの性能=空気清浄機の性能ではありませんので、安すぎる物は性能的に満足できるか疑問が残ります。
また、以下のような可能性も考えると少し気になりますね。
- フィルターが交換できない機種もある
- 初期不良に遭ったときが大変
- サポートがあてにならない可能性(日本語対応含め)
その上のクラスになると日本のジェネリック家電のメーカーになりますが、安くて5,000円~10,000円。SHARPやダイキンなどの大手だともっとします。ブルーエアなどの高級機は10万を超えることも。
とは言え高いから必ずしも満足できる・安いと駄目、という訳でもありません。これまでにも書いたとおり、私は6,000円弱で買った国内メーカーの空気清浄機でもコスパ良く感じました。これについて詳しくは以下記事(再掲)をご覧ください。
電気代
私が購入した空気清浄機で、以前30日あたりの電気代を調べたことがあります。改めて1日あたりの電気代も計算しましたので併せてご紹介します。
対象製品 | ツインバード AC-D358PW |
---|---|
電気代ベース | 1kWh=27円で計算 |
消費電力 | ターボ 43 / 49 W 標準 24 / 25 W 静音 18 / 18 W 待機時 0.6 / 0.8 W |
1日分の電気代 | ターボ 27.86円~31.75円 標準 15.55円~16.20円 静音 11.66円 待機時 0.39円~0.52円 |
30日分の電気代 | ターボ 835.92円~952.56円 標準 466.56円~486円 静音 349.92円 待機時 11.66円~15.55円 |
ファンを回すという単純な機能がメインなので、それほどの金額ではありません。
実際には1日中つけていることは少ないと思いますので、もう少し安くなると思われます。例えば臭いが強い時だけターボ(強運転)にしても、1時間あたり2円以下。そう考えると安いですよね。
もちろんこの機種の場合であって、もう少し電力を食う機種もあると思います。それでも数割程度の誤差がほとんどと思いますので、たいしたコストにはならないでしょう。
フィルターのコスト
フィルターは定期的な交換が必要です。フィルターを交換する時期の目安は、機種によって一応設定されています。
……が、使用状況・環境によって変わるので実はあまり参考になりません。
それを前提とした上で例を挙げると、私の使用機種では以下と指定されています。
機種 | 寿命例 | 実売価格 |
---|---|---|
SHARP製 FU-E51-W | 脱臭フィルター:交換不要 集塵フィルター:約10年 | 脱臭フィルター:¥3,300- 集塵フィルター:¥3,627- |
ツインバード AC-D358PW | 脱臭フィルター・集塵フィルター共に約1.5年 | 脱臭フィルター& HEPA集塵フィルターのセット: ¥2,470- |
SHARP製の空気清浄機は、10年と書いてありますが、個人的にはもっと短いのではないかと想定しています。脱臭フィルターも定期的に洗えば交換不要とありますが、徐々に性能は落ちていくのが道理です。
対してツインバードの方が実態に近そうですね。ちょっと短めに見積もって、1年に1度程度の交換で2,500円と考えておけば良さそう。こんな感じでランニングコストを見積もることが可能です。
その他
例えば故障したときの修理などです。保証期間を過ぎた後は、当然修理費がかかります。加えて送料または出張修理にかかる費用もあります。
金額は故障の内容次第なのでケースバイケース。いくらかかるか予想がつかないと修理に出す・来てもらうのはちょっと恐いものです。
大手メーカーの上位機やブルーエアなどの高級機以外は、現実的には新しいのを買った方が手っ取り早いかもしれません。
ちなみに私は壊れたことはありませんが、壊れたら修理ではなく新しいのを買う予定です。
選定する際に考慮すること
薪ストーブ対策として、空気清浄機を導入してみようかな……と思われた方もいらっしゃると思います。そんな方のために、機種を選定する際に考慮することをまとめました。
どんな機能が必要か・不要か・妥協できるか
空気清浄機には様々な機能・特長がついていることがあります。例えば以下のようなものです。
- フィルターの性能(PM捕集率等)
- 脱臭フィルターの性能
- 切タイマー
- 風量調整
- 加湿機能
- イオン機能
- PM測定
- 花粉対策機能
- ニオイセンサー
- ほこりセンサー
この中で、ご自身がどの機能が欲しいかを基にして考えると良いと思います。
参考までに私の場合は、最低限、風量調整がついていて、HEPAフィルター搭載・脱臭フィルター搭載、加湿機能無しくらいしか気になりません。実際の効果に関しては使ってみないと分からないので、あとは使ってみてになるでしょうか。
人それぞれ譲れない機能があると思いますので、必要か不要かを検討してみてください。
個人的にはアイリスオーヤマのPM測定ができる空気清浄機も気になっています。数値が気になって気が散るという懸念もありますが……。
値段と機能、どちらを優先するか
当然ですが、値段が安いほどコスト削減されている=質が悪くなり、機能も減る傾向にあります。逆もまたしかりですね。
そのどちらを優先するかという問題があるでしょう。
個人的に調べた結果としては、値段が上がるほど機能は豊富になる印象です。しかしながら、空気を清浄する能力は、高級機以外そう大差無いのではないかと推測します。
例えばツインバードの6,000円弱の製品と、SHARPでは安価な1.4万前後の製品では大きな差は感じませんでした。もちろん機能はSHARPの方が付いていますが。
空気清浄の性能を期待するのであれば、各メーカーが出す高級機(かね5万以上)には高性能をうたった製品が多数あります。薪ストーブの煙・臭いに効果があるかはまた別ですが、そういったものも検討してみるとよいかもしれません。
有名メーカーを1台?それとも格安機を複数台?
予算が限られている場合、その予算内で1台を購入するか、予算内で複数台を購入するかというのも検討要素だと思います。
というのも安価な空気清浄機であれば、同じ予算で複数台設置できる可能性もあるからです。
家庭用の普及価格帯の空気清浄機の場合、国内の名の通ったメーカーを選びさえすれば極端な性能差はないでしょう。であれば複数台を各部屋に設置する方が、より体感として被害を緩和できる可能性もあるのです。
私も今年空気清浄機を購入した際、当初は予算1.5~2万くらいで大手の空気清浄機を買おうと探しました。
しかしツインバードの空気清浄機なら同じ値段で2台以上買えることがわかり、物は試しと2台購入しました。結果、2各部屋分の被害が緩和されて良かったと思っています。
ただし安いものは機能が少ない場合もありますので、求める機能があるかにもよりますね。
まとめ
薪ストーブ対策としての、空気清浄機について詳しく見てみました。
大事なことなので改めて書きますが、空気清浄機の効果はあれど、あくまで被害を緩和するものです。
当然のことながら薪ストーブを止めてもらうことが最も効果的ですが、できたら苦労しません。
現実問題として、給気口フィルターと並び、空気清浄機は不快感を軽減できる数少ないアイテムです。まだ利用されていない方は、検討されてみてはいかがでしょうか。
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