近隣の薪ストーブ臭すぎ。もうこの家売りたい。。
でも、家を売るには告知義務があるらしい。薪ストーブ問題は告知しないといけないのだろうか?
前々からいつか家を売りたいとは考えていたのですが、いざ検討してみると売却には「告知義務」というものがあるようです。
私は不動産の売買には素人なので、事前に知識を得ておきたいと思い詳しく調べてみることにしました。
先に結論を書いておくと、状況によるので一つの答えはありません。よって本ページが直接的に役立つことはありません。あくまで検討される際の補助としてご参考いただければと思います。
薪ストーブに限らず、常識外のバーベキューや野焼きなど、各種煙の近所迷惑等で売却&引越しを考えている方の参考になれば幸いです。
告知義務とは!?
保険などでも聞く告知義務という言葉。何となく漢字で意味はわかるけれど漠然としている。……という方もいるのではないでしょうか。
まずはその告知義務(不動産の場合)について最初に説明しておきます。すでにご存じの方は読み飛ばしてください。
契約に大きな影響を及ぼす要素を告知する義務
住宅の売買は高額なものです。売り手にとって不都合な事実を隠して販売することがまかり通ってしまえば、買い手が困ってしまいますよね!?
そうならないよう「売買契約をする・しないの判断に、大きな影響を及ぼすことは事前に告知しましょう」というのが告知義務です。
仲介してもらう不動産会社に相談し、それが告知義務対象となれば購入検討者に告知されます。
告知義務がある内容4つ
告知義務の内容は、以下の4つに分けられます。1段右に下がった部分はそれぞれの例です。
- 物理的瑕疵
- 雨漏りがある
- ひび割れがある
- 床が割れている
- 法律的瑕疵
- 法律に違反している箇所がある
- 環境的瑕疵
- 近くに火葬場がある
- 近くに工場がある
- 近隣トラブルがある
- 心理的瑕疵
- 過去に殺人事件があった
- 心理的に不快を感じる出来事があった(ある)
漢字の意味的にも、直感的にわかるのではないでしょうか。
ご想像のとおり、薪ストーブの煙・臭いに関しては、状況により環境的瑕疵になる可能性が考えられます。
後述しますが、あくまで被害が大きいなどの「状況により」です。
告知義務にあてはまるとどうなる!?
ここでは不動産会社を仲介しての一般的な売買を想定します。まずは売却の相談時に、不動産会社に売却理由や、問題点などが無いかヒアリングを受けます。
その際に告知義務があるということになれば、不動産広告には「告知事項あり」と記載されて広告されます。下記は賃貸ですが、その記載例です(グレー部分は当サイトによる塗りつぶし)。
引用:みんな大好き!事故物件!! | とある不動産賃貸営業マンのブログ
物件が気になったお客さんは普通、「なにそれ!?」ということになりますよね。
もちろん問い合わせをすればその詳細を知ることが可能。ひいては購入(または賃貸)する際の判断事項になります。
売買の場合、買ってくれなくなる?売値が安くなる!?
なるかもしれないね。。投資家が買うような都会のマンションならいざ知らず、買った人が住むような都会から距離のある戸建てだと特にね。
加えて、契約締結に「重要事項説明書」に記載され、宅建士により読み上げ説明もされます。
つまりは絶対に相手は知ることになるので、後から「そんなの聞いてません」ということも防止できるメリットもあるのです。
告知しないとどうなる!?
基本的に、家の価値を落とすようなことはあまり言いたくありません。できれば秘密にしてこっそり売りたいのが人情です。
しかし告知義務ができた背景の通り、購入判断に大きく影響する要素を告知しないとトラブルの元になります。
住んでみて買い手が「なにこれ!?」「聞いてない」「知ってたら契約しなかった」となれば、最悪訴えられかねません。
となると以下のような憂き目に遭う可能性もあります。
- 減額請求
- 契約解除
- 損害賠償
これは絶対に避けたい(汗)
後述しますが、環境的瑕疵や心理的瑕疵に明確な基準はありません。物理的瑕疵や法律的瑕疵のように分かりやすくないのです。
つまりは告知せずに売って訴えられるかは買い手次第。そして判決がどうなるかは弁護士や裁判所次第になります。
「知ってたら契約しなかった」も、人により感じ方が違うのが難しいところです。
薪ストーブ問題は告知義務にあてはまるか
告知義務にあてはまれば告知した方がよいことは分かりました。では改めて本題に入ります。薪ストーブの問題は告知義務の環境的瑕疵にあてはまるでしょうか。
……最初に結論として書いたように、それは一概には言えません。プロである不動産会社に相談するのが定石です。
優等生的なことを言えばこれ一択!
でも、できるだけ告知したくない気持ちもあることはとてもよくわかります。百万単位で売値が変わってしまう可能性があるなら考えてしまいますから。
しかし現実的には不動産会社には言うしかありません。ここでは、あくまで「不動産会社に相談する前の段階」の基本知識として、薪ストーブ問題の告知義務を考えてみたいと思います。
煙と臭い問題
まずは煙や臭いが普通なのかどうかも指標になりそうです。
それが社会通念上、我慢すべきレベルであるかどうか。つまりは受忍限度であるかどうかですね。
普通に我慢すべき程度なことであれば、そこまで大げさにしなくても良い可能性もありえます。逆に受忍限度を超えているような酷い状況であれば、確実に告知すべきと考えられるでしょう。
え、我慢し難いから売却を検討してるんですよ!?受忍限度超えてるに決まってますよ。
そうなんです。普通は本人にとっての受忍限度を超えている、だから家を売却しようと考えることが多いと思います。となると「告知しておいた方が良い」となるでしょう。
しかしいざ売る側になると、できるだけ高く売りたい。だからもしかしたら他の人なら受忍限度の内なのではないか!?と再考することになる。その結果、頭がごちゃごちゃしてしまうんですよね。
その原因は、自分の受忍限度と、一般的な受忍限度は異なることだと考えられます。これに関しては、以下のページも参考になさってください。
事務的に考えれば「一般的な受忍限度」をベースに考えるべきなのかもしれません。しかし、実際住んで煙を浴びるのは他でもない買い手です。
買い手がどう思うかも重要ですので、自分の受忍限度も充分に考慮しつつ考えた方が誠実かもしれません。
例えば私のケースなら、告知義務になるかは不動産屋と決めるとして、どうあれ購入希望者には薪ストーブのことは説明が必要と思いました。
近隣トラブル問題
どこからが近隣トラブルになるか、これまた難しいところです。
- 大声で言い合った
- 片方が怒鳴り声をあげた
- 度重なる数のクレームを伝えた
- このくらい問題無いと相手にされなくなった
- 挨拶を交わさなくなった
こちらがトラブルと思っても薪ストーブ利用者はそうは思っていないこともあります。そしてその逆もあります。
さらには、ちまたの不動産売買では、
トラブルは解決してから売りましょう。解決すればトラブルではありません。
という説明をよく目にします。薪ストーブのトラブル解決って何!?
臭いが軽減されたとき!?使うのを完全に止めてくれたとき!?こちらが妥協して我慢すると決めたとき!?
これはさっぱりわかりませんね。
というわけで、こちらも告知義務になるかどうかは難しい判断です。
ただ、近隣トラブルはそもそも煙や臭い問題が原因なことが多いはず。なのでまずは煙・臭いの告知義務を考えれば自然と答えが出てくることも多そうに思います(煙・臭いが強さに応じて近隣トラブルにもなりますので)。
環境的瑕疵は明確な基準がないので私たちには考えることしかできない
先ほどから、全く説明になっていないことは申し訳ありませんm(__)m。環境的瑕疵は、薪ストーブの受忍限度と同じく明確な基準がないので、一概に言えないのです。
- 買い手が住んでから気になるか
- 万一訴えられた場合劣勢にならないか
この2点が重要と考えられます。
しかし買い手が気になるかや、判決どうなるかなどはわかるはずもありません。ですから私たちは、現状について考え、推測することしかできないのです。
現実的には不動産会社とも相談の上、決めるもの
だからこそ、最初に挙げたように、プロである不動産会社と相談して決めるのが得策といえます。
少なくとも売却の第一理由が「薪ストーブが臭くて迷惑だから」ということであれば、不動産屋には必ず伝えるべきでしょう。そうでない場合も、嘘や秘匿はだめです。
不動産会社に正しく説明しないというのは、相当のリスクが伴うことに注意が必要です。
お世話になる不動産会社にも言わないのは誠実ではないですしね。
告知すれば万事OKというわけでもない
告知義務に基づき告知をすることは、家を売却する際において大事な要素です。
しかしながら告知すれば万事OK……とまではいかないことにも注意が必要です。
説明不足による問題が発生することも
告知&重要事項説明書にも記載すれば、万一その件で訴えられたりしても問題ない。そう考える人も世の中にはいるようです。
が、現実はそんなことが許されるわけはありません。
虚偽の説明や、明らかな説明不足があると、告知していても法的に訴えられる可能性があります。
参考までに、以下は説明に際し不誠実な対応をされた例です。
上記のように、問題があるにも関わらず「今は問題無い」というのは虚偽です。
上記は法律相談であり判例ではありませんが、常識的に考えても訴える価値がある内容と考えられるでしょう。
例えば(冬に)薪ストーブで問題があったが今は(夏は)問題無いから嘘じゃない、なんてのも通りませんよ。
告知しても説明が必要
告知したからといって、きちんとした説明をしなければだめだということですね。
焦点となるのは以下です。
- 虚偽の説明をしないこと
- 誤解を招く説明をしないこと
- 説明は過不足なくすること
虚偽の説明は言わずもがな。誤解を招く説明もトラブルの元です。告知したからと安心せずに、過不足無く説明することが大事なようです。
問題がある家をさっさと手放したいという気持ちはとてもよくわかります。しかし、「売れれば良い。自分さえ良ければ」という考えが良くないことは、私たちは重々身にしみてますものね。
自分さえ暖かくて幸せなら良い……というのと同じになっちゃいますから。
おまけ:そもそも告知義務に限った話ではないのかも
不動産会社と相談の上、もしも告知義務とならないと判断された場合、他の物件となんら変わらず売買されます。
しかしながら「それなら安心。一切何も言わなくてもよい」……というのもまた違うように思います。
自分は相当気になっていた場合は、せめて会話の中で触れておくべきかと。。
告知すれば万事OKではないのと同様、告知しない場合でも説明不足にてトラブルを招く可能性もあると考えられます。
リスクを回避したい場合は、いずれにしても説明は誠実にすべきことかもしれませんね。
まとめ
薪ストーブ問題のある家を売るということ。おそらくは不動産会社もあまり前例が無いと思いますので、手探りな場合もあるかもしれません。
いずれにしても、まずは不動産会社に相談することが一番です。不動産屋にも言わずに済むかといえば、万一のことを考えると難しいでしょう。
とは言え不動産会社のいいなりが良いとも限りません。本文内でもリンクした悪質な例のように、グレー・またはブラックな手法に手を染める不動産会社もあるかもしれませんので。
ですから自分の頭で考えることもやはり大事なことだと思います。本ページの内容は直接的には役立ちませんが、本問題を考えることの一助になれば幸いです。
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