私は薪ストーブ被害に遭ってから約4年になろうとしています。あるとき、もしもこの問題の最初に戻れたとしたら、自分にアドバイスすることはなんだろうと考えてみました。
そう考えて一番に思うのは、薪ストーブ利用者と仲良くなっておけば良かったということです。
今ではもう相手を「とにかく嫌な相手」としか思っておらず、仲良くなろうとは思いません。きっと相手も同じでしょう。

生理的に無理。もう何があっても絶対無理です。
しかし、こうなってしまったのは交渉の過程においてです。本格的に交渉する前に仲良くなれていれば、相手の反応も違ったのかもしれないなぁとも思います。
私の場合はあくまで“かもしれない”ですが、論理的に考えても仲良くなれるにこしたことはないはずです(そもそも薪ストーブが設置されてなければ一番ですが)。
本ページでは、薪ストーブ利用者と仲良くなることについての私の考察をまとめました。まだ仲が悪くなっていない方、まだ間に合う方は、参考にしていただければ幸いです。
仲良くなることのメリット

仲良くなることにデメリットは無いにもかかわらず、メリットはたくさんあります。メリットを知ることで、仲良くなれたらとても良いということをまずは認識いただければと思います。
お互いに人間性を知ることができる
人は知らない対象に恐れをなすものです。未知のものには危険があるかもしれないので、それに対して恐怖や不安を感じるのは遺伝子レベルのものなのでしょう。
人が人に恐れや不安を生じる理由の一つも、相手のことをよく知らない部分が大きいと思います。
例えば自分が引っ越したら、周囲の住人がどんな人かちょっと不安になりますよね!?または誰か引っ越してきたとしても同じことです。

そりゃあ長く近くに住まうわけですから当然です。
例えば以下の様な不安があると思います。
- 変な人だったら!?
- 神経質な人だったら!?
- 恐い人だったら!?
- 頭がおかしい人だったら!?
- 話が通じない人だったら!?
これと同じように、薪ストーブ問題でも相手を知らないがゆえに生ずる不安があります。
不安に思うのは薪ストーブ利用者にとっても同じです。
- 周辺住民→薪ストーブ利用者に対して
- 臭いといっても聞いてくれなかったら!?
- 法律を盾にするような人だったら!?
- 自分さえよければ良いという人だったら!?
- 薪ストーブ利用者→周辺住民
- すごく神経質な人だったら!?
- 歩み寄りをしてくれない人だったら!?
- 法律よりもマナーにうるさい人だったら!?
相手のことをよく知らないうちに交渉を深めてしまうと、お互い相手に対し、こういった疑念が自然と強くなりやすいように思います。
というのも薪ストーブを使う限りは臭いは全くのゼロにはなりませんし、簡単に解決する問題ではないからです。

そのためお互いに「相手が悪い・おかしい人なのでは!?」という疑念が生まれやすいです。
本格的に交渉する前に、仲良くなり、できるだけ多くの会話を交わし、相手の人間性を知っておくこと。これによりお互いに対する不安・恐怖が軽減され、誤解も減ります。
つまりは薪ストーブ問題のコミュニケーションを円滑にするための土台になってくれるわけですね。
交渉のハードルが低くなる
心理学の世界では、人は知らない相手ほど攻撃的・冷淡な対応をしやすくなるという傾向が分かっています。これはザイアンスの法則と言います。
この効果は、アメリカの社会心理学者、ロバート・ザイアンスによりまとめられ、広く知られるようになりました。一般には「単純接触効果」と言った方が分かりやすいかもしれませんね。
よく知らない他人と交渉するということは、お互いに自分の要望を通すための話し合いになりがちです。薪ストーブのように問題が長期化するものであれば、その中でお互い敵愾心が生まれるのも自然と言えるでしょう。

私の場合も最初はもっと和やかでしたが、月日とともに憎き相手となりました。
対して知人・友人と交渉する際は、相手に対する思いやりが入ります。ひいては、人対人の話し合いをしやすくなる、つまりは交渉のハードルが低くなります。
加えて言うなら、「薪ストーブが気になる」という最初の声かけも切り出しやすくなるはずですよ。

ちなみに我が家は薪ストーブが気になるというのを伝えるまでは、相当期間我慢&様子見しました。言ってキレられたら恐いと思ってしまってなかなか言えなかったのです。
相手も協力的になる
薪ストーブ問題の進展に絶対かかせないのが利用者側の協力です。被害者側からは何らできることはありませんので当然ですよね。
一般的に、利用者が被害者側に好意を持っているほど誠意をもって頑張ってくれます。「この人のためなら努力しよう」と思ってもらえることが要因でしょう。
逆に嫌悪感を抱いていれば、利用者は対応が面倒臭くなります。「なんでこいつのためにがんばらなきゃならないんだ。そもそも法律で許可されているのに。」となりやすいはずです。
極論を言えば、好意の度合いは協力度の度合いそのもの。相手の協力を期待するなら、仲良くなるにこしたことはありません。
被害感を軽減できる
利用者側の問題だけでなく、被害者側にも効果があります。
そもそも、被害者が不快に感じるポイントというのはなんでしょうか。以下にまとめてみました。
- 利用者が協力してくれない
- 利用者が聞く耳持ってくれない
- 酷い対応をされた
- 煙の臭いが強い
直接的には臭いなわけですが、対応してくれない利用者だからこそ余計にイライラ&ストレスになる。そしてそのストレスがより強い被害感を生み出します。
逆に言えば、利用者の事は普通に好きで、きちんと話も聞いてくれる、協力もしてくれる姿勢もある……などの状況が揃っていれば、心理的にもずいぶん違うことでしょう。
つまり同じ臭いの強さであっても、仲良くなっておけば被害感も軽減される可能性があるのです。

そんなものですかねぇ?
例えば、家族の吸うタバコと、見知らぬおじさんの吸うタバコではどちらが気になるか想像してみてください。大好きな相手であるほど、タバコの煙も気にならないものですよ。
以下、社会心理学者の言葉を引用します。
「迷惑学」を提唱する金城学院大学の北折充隆教授(社会心理学)は「相手に『好意』がある場合、迷惑とは感じにくくなる」と説明する。逆に言えば、相手が見知らぬ人や苦手な人の場合、同じことでも「迷惑だ」と感じやすくなる可能性があることになる。
引用:外国人との騒音トラブル、解決のヒントは「好きな人のたばこは気にならない」
上記の引用元記事も、興味深い記事だと思います。
仲良くなる具体的な方法

とは言っても「仲良くなるのは難しい」とお考えの方も多いでしょう。たしかに学生時代のように毎日教室で顔を合わせるわけでもない大人は、仲良くなるのが比較的難しいです。
とはいっても、何もしないよりも仲良くなりやすいであろう方法はあります。
とにかく接触を増やす
「ザイアンスの法則」については先ほど触れました。よく知らない相手には攻撃的・冷淡な対応をしやすくなるというものですが、この法則はこれだけではありません。
逆に、会えば会うほど、相手に対する好意を生むという効果もあります。むしろこの部分の方が「単純接触効果」として一般に広く知られていますよね。
例えば見目麗しいと言えない芸能人でも、テレビで何度も見ているので好印象を抱くのはそのためです。女性が選ぶタレント人気ランキングも、イケメンだけではありませんしね。
というわけで、とにかく接触を増やすことは心理学的に見ても間違いのない方法です。
積極的に接触を増やそうとすれば、例えば以下のようなことが思いつきます。
- 顔を見かけたら必ず声をかける
- 適度に庭に出て合いやすい状況を作る
- 近隣道路のゴミ拾い等をして会いやすい状況を作る
- お土産をもらったらお裾分けしてみる
- 家庭菜園であまったらあげてみる
- 一緒の会合などには必ず顔を出す
ただ、人によっては距離感も気にかけたり、相手に負担のならないようにしたりすることも重要です。

コミュニケーションって相手にもよるのでホントむずかしいですよね。
特に何かをあげる系のものは、大喜びする人がいる反面、以下のように苦手な人もいるようなので注意が必要です(見た目では判別できませんが)。
- お返しをしなければならない気持ちになり重荷になる
- 家族の好き嫌いが多い(甘い物が嫌い等)
- 人からもらったものが信用できない
- もらう理由が無い
好意の気持ちを持つ
犬が人に好かれるのは、かわいいということもありますが「無条件の好意を振りまくこと」も大きいと思います。好意をもって近寄る犬を、嫌いになれる人はあまりいないでしょう。
人間は犬のかわいさには遠く及びませんが、それでも好意を持って接することは友達になるための大きな要素になります。
本心から好意を示すのが一番ですが、それが難しい場合はまずは偽りからでも良いのではないかと思います。演じている内に、本当になることもありますしね。
自分から興味を示す
好意の気持ちを持つことにも関連しますが、自ら相手に対し興味を示すことも大事だと思います。相手のことに無関心な状態で友達になることは難しいですので。

愛の反対は無関心といわれますが、言い得て妙だと思います。
興味を示す対象は、変なこと(?)でなければ何でもいいと思います。
- 相手のファッション・身につけている物
- 相手の家(外壁・外構・こだわってそうな箇所など)
- 相手の嗜好(車・バイク・薪ストーブも)
- 育てている植物(花・野菜など)
等など、何かの拍子に話題にしてあげると、関係が良くなりやすいと考えられます。
YES/NOで答えられない質問を織り交ぜる
すぐ会話が終わってしまい、なかなか仲良くなれない、話が盛り上がらないという方もいるかもしれません。そんな場合は、YES・NOで答えられない質問をすると、会話が続きやすいです。
- その服おしゃれですね、どこのブランドですか?
- その外壁サイディングじゃないですよね、何の素材ですか?
- バイク素敵ですね、どのくらい速度がでるんですか?
- そのお花とても綺麗ですね、何という花なんですか?
お気づきの方もいるかもしれませんが、これらは「好意の気持ちを持つ」「自分から興味を示す」を実行していれば自然にできてしまうことだったりもします。
会話のテクニックとして書きはしましたが、マインドの方が大事です。
なお、本項における原則は、デール・カーネギーの名著「人を動かす」をベースにしています。コミュニケーションにおいて普遍的なことが書かれているので、読んだことのない方はお勧めですよ。
仲良くなるために気をつけること

仲良くなることを目標とする際に、気をつけておきたいことについて補足しておきます。
初回の印象が悪いと台無しになる
単純接触効果のメリットは大きいですが、1点だけ注意が必要です。もしも最初に強い嫌悪感を抱かせてしまった場合、接触の回数が増えるたび、逆に悪い印象が増えてしまうという効果もあります。

良かれと思ったら逆効果になっちゃいますね。
ですので仲良くなるためには第一印象はしっかりとしておきたいところ。……とは言っても、特にがんばらなくても、社会人として普通であれば十分ではないでしょうか。
- 身だしなみは最低限きちんと
- 会話はもちろん敬語で
- 笑顔を心がける
これくらいのことをしておけば、普通に接している限り、強い嫌悪感を抱かせることはないでしょう。現実的にはあまり身構えなくても良いとは思います。
薪ストーブの否定的な話はしない
最も大事と言っても過言ではないかもしれません。まず仲良くなる段階において、薪ストーブの否定はしないようにしましょう。
相手にとって薪ストーブは、こちらが思う以上の存在の場合もあります。それを否定してしまうのは、相手自身を否定するのも同じこと。したがって最初の段階で悪いことは言うべきではありません。
薪ストーブの臭いや薪割りの騒音など、言いたいことは多々あると思います。ですがまずは仲良くなって心を開いてもらうのが先決です。

むしろ「素敵ですね」「やっぱり暖かいんですか?」等と持ち上げておくくらいの方がよいかもしれませんね。
異性には注意
仲良くなるためには好意を持つことと書きました。
念のため触れておきますが、自分にその気は無くとも「異性としての好意」としてとられると一気に相手は気持ち悪さを感じます。そうでなくても、相手配偶者の気分を害することはあるでしょう。
あくまでご近所としての好意と見えるような自然さが重要です。
異性で仲良くなるのはダメではありませんが、トラブルの火種になる可能性をゼロにはできません。まずは夫は夫同士、妻は妻同士など、同性の方からアプローチする方が無難なのかもしれません。

もちろん一般論であり、実際は相手によって戦略を変えてください。
無理して夫・妻両方と仲良くなる必要はない
例えば相手家族の夫と妻では、それぞれ社交性や性格が大きく異なることもめずらしくはありません。つまりは話しやすさ・仲良くなりやすさのレベルも異なる場合があります。
相手家族の主要な人全員と仲良くなれれば一番ですが、無理はいけません。
会話をする中で夫・妻のどちらか仲良くなりづらいことが分かった場合、無理して両方仲良くなろうとする必要はないと思います。
ときには諦めも必要かも
仲良くなるまでは煙・臭いを我慢する……と決め込む方もいるかもしれません。しかし、我慢が続くと相手のことが無意識レベルでどんどん嫌いになってしまいます。
先にこちらが相手のことを大嫌いになってしまえば、友達になどなれっこありません。
ですから被害があまりに酷い場合には、仲良くなるまで我慢せずに、臭いがあることを伝えるのもやむ無しでしょう。伝え方を考えれば、友達になれる可能性がゼロにまではならないと思います。

とは言えもともとがムズゲーですから、時に諦めも必要かもしれません。
仲良くなれないかもしれない例

仲良くなった方がいいことは重々承知の上であっても、どうしてもそれが叶わないケースもあります。ここでは、仲良くなることが厳しいかもしれない例をご紹介します。
すでに自分が相手を嫌いになってしまっている場合
私がそうなのでとてもよく分かるのですが、自分が相手を著しく嫌いになってしまっている場合はどうしようもありません。
例え実際にはまだ関係が悪くなっていなくても、仲良くなるのは難しいでしょう。これ自体はもう仕方のないことです。
こうなってしまったら、自分に嘘をつける演技派の人でない限り厳しいと思います。
すでに関係が悪くなっている場合
すでに薪ストーブ問題で交渉を進めてしまっているなどで、お互いの関係が悪くなってしまっている場合も難しいです。
一度ひびが入った人間関係を戻すのは至難の業だというのは感覚的にもわかりますよね。こちらもよほどのことが無い限り難しいでしょう。
相手がこちらに無関心の場合
当然ですが、知人・友達になるというのは自分だけで完結することではありません。相手があってこそできることです。
例えば自分がいかに友達になりたくても、相手に全くその気がない・無関心の場合はどうやっても難しくなるでしょう。
その点、ちょっと恋愛に似てるかもしれませんね。眼中にない人と恋愛になるのが無理ゲーなのと同様、こういったケースでは困難を極めます。

実はこれも私の場合はそうで、夫の方は何を話しかけても相手が無関心なので会話が即終了でした(汗)
世界が違いすぎる人の場合
同じ日本人でも、世界が違いすぎる人ってたまにいますよね。
例えば私なんかはオラオラ系だったり、ヤンキー系だったり、パリピだったり等と仲良くなれる自信は全くありません(汗)。似たもの同士、理解できるもの同士でないと生理的にも無理ですよね。
外見と内面は違うこともありますが、私の人生の教訓では大抵はその通りな気がします(汗)。本当に世界が違いすぎる人だった場合は仲良くなるのは難しいかもしれません。
まとめ
以上、薪ストーブ利用者と友達になれれば交渉にメリットがあるいうことを書きました。ただ、現実問題としては正直かなりのムズゲーと言えるかもしれません。
本文で書いたとおり、薪ストーブ問題の交渉が深く進んでしまっている場合は絶望的。うまくいく可能性があるとしたら(自分か相手が)引っ越してきたばかりの最初が肝心だと思います。
私はもう無理ですが、これを読んでいるまだ間に合う方は、是非チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
コメント
私もかれこれ10年以上近隣の薪ストーブに悩まされてきました。それが原因で心療内科に通ったこともあります。毎年冬は憂鬱です。特に年末からお正月は四六時中ずっと焚かれて辛さがピークに達します。なので共感できる記事を読んで気を紛らわしたいと検索していたのですが、被害者の方の書くものは大概攻撃的批判の一方通行で結局救いがないものばかり。しかしやまださんのブログは被害にあいながらも怒りやイライラをコントロールし、冷静で客観的な情報発信につとめていらっしゃっていて、とても感心しながら読ませていただきました。ちょっと気持ちが軽くなりました。ありがとうございました。因みに私も近隣ストーバーさんとは「何があっても絶対無理」状態です苦笑。
コメントありがとうございます。
冬は煙いし寒いしすぐ暗くなるしで憂鬱になりますよね。
私も当初情報を調べる中で、攻撃的な言葉や、売り言葉に買い言葉的な不毛な応酬合戦に悲しくなることがありました(もちろん、それだけ悩みが強い方が多いということだとは思いますが)。
違ったアプローチができれば広く読んでいただけるかなと思い今のような投稿スタイルになりましたが、正直ただの自己満足で需要はないのかも!?と気になっていたところです。
ですので、いただいたお言葉がとてもうれしく思います。
むしろ私の方こそ、さんぽさんのコメントで気持ちが軽くなりました。
ありがとうございますm(__)m。