煙はもう嫌。今住んでいる家を売りたい……
薪ストーブの煙・臭い・騒音被害に遭っている方の多くは、きっと一度は考えたことがあると思います。私も家を建ててからまだ数年ですが何度も考えました。
けれど
- 家を売るのは大変だしできればしたくない
- 家を売っても住宅ローンの返済額に満たないことが確実(=オーバーローン)
という状況でしたので放置してきました。……が、下手すれば一生煙にまみれた秋冬を過ごすことになるのも嫌なので、一度本気で調べてみることにしました。
結論としては、当然ながら一概に言えるものではなく、ケースバイケースということになると思います。
それでも「絶対できないわけではないな」と個人的には収穫を得られました。加えて「やる気になれば可能かも」と知ることで、何となく気持ちが楽になった気もします。
本ページでは、オーバーローン状態において自宅を売却する方法をまとめました。私と同じように、薪ストーブが原因で売却も検討している方の参考になれば幸いです。
そもそも売れる!?告知義務は!?
まずはあれこれ考える前に、そもそも売れるのか(買ってくれるのか)という問題について考えていきたいと思います。
状況を分かっていて買う人は少ないかも
現状、私の地域では10月~4月までは薪ストーブが使われます(薪ストーブ宅めっちゃ多い)。本格的に煙くなるのは12月~3月ですが、この間、ほぼ毎日使われるので頻繁にストーブの被害に晒されています。
その状況を知っていて買う人はいるでしょうか?
普通に考えたらいるわけないよね。
臭いが気になる・気にならないは人それぞれあるかもしれません。ですが臭いが理由で売りに出された物件である事実を知れば、誰でもちょっとは心配になることでしょう。
ひいては心配を上回るメリットがないと売りづらいと考えられます。
例えば以下です。
- 物件が良い
- 立地が良い
- 値段が安い
- 学区が人気
- その他希少価値がある物件
残念ながら我が家はあてはまりそうもありません。。唯一値段のみ自分でコントロールできる部分ですが、安くすれば大損になってしまいます。
逆に言えば、大損してもよければ売れるかもしれません。
告知義務はある!?
じゃあそれを秘密にして売れば良いのでは!?
と思うのが人情です。しかしながら、不動産の売却には告知義務というものがあるようなのです。
物件または周辺環境に瑕疵や問題があるのに黙って売れば問題になる。だから法律で定めておきましょう、ということですね。詳しくは以下のページをご覧ください。
焦点となるのは薪ストーブの煙やご近所トラブルは告知義務になるのか……ということですが、現実はケースバイケースです。
程度によっては告知義務になる可能性はありますが、できれば素人判断はやめましょう。まずは売却の依頼先(不動産会社)に相談することが大事です。
残念ながら「告知義務である」とされてしまった場合は、購入検討者に秘密にすることはできません。
ただ、告知義務であっても絶対売れないというわけではないですので。
オーバーローン状態だけど売却できる!?
不動産を売却してもローンの完済ができずに残ってしまう状態。これをオーバーローンと言います。
住宅ローン残債 > 売却価格
↓
オーバーローン
中古になった途端一気に何割かも価値が落ちてしまうのが住宅です。よほど頭金を多く出していない限り、オーバーローンになる方は多いことでしょう。
お金を貸した側からすれば、売却で一括返済してもらわないと無担保になってしまいます。ですので当然ながらオーバーローンになるようでは売却を許可してくれません。
ここではそんな状態でもなんとか売却する方法について考えてみたいと思います。
希望額で売りに出してみる
ほんのちょっとだけ足りないという、きわどいオーバーローン状態の方もいるはずです。その場合は、不動産会社に相談の上、思い切って希望額で売りに出してみる手もあると思います。
もしかしたら運良くピンポイントでその物件を気に入る人もいるかもしれません。
ただ、金額的に高すぎる物件はやはり売れませんし、不動産会社にやる気を出してもらいづらいです。こちらはまず不動産会社に相談してみるのが先でしょうね。
なんとかして自力でお金を用立てる
これができれば苦労もありませんが、なんとかしてお金を用立てる方法です。
親・兄弟・親戚に借りられるような環境にある人は恥を忍んでそれもありかもしれません。が、大人になって人に頼るのは心苦しいと思う方も多いのではないでしょうか。
他には、資産を売り払ったり、現金化したりすることも、お金を用立てる現実的な方法です。
思いつくだけ挙げてみました。
- 車・バイク
- 貴金属(金・銀・プラチナ・宝石等)
- ブランド品
- コレクション品(絵画・腕時計・ワイン)
- 高級家電
ローン返済額に少しだけ足りない……という場合はこれらも有効だと思います。1つ1つは小さくても、一式売れば100万・200万程度にもなりえるからです。
2021年のメルカリの調査によれば、家庭に眠る隠れ資産は国民一人あたり34.5万円もあるんですって。意外と多いですね。
- 大きな金額にはなりづらい
- 大事なものをお金に替える喪失感
フリーローンを利用する
ほんのちょっと足りない時のその他の選択肢となるのが、フリーローンです。フリーと名のつく通り、何に使ってもかまわないローンのこと。その代わり金利が高いのが特徴です。
フリーローンは銀行や消費者金融が提供しています。例えば有名所のアコムであれば、最大800万円まで借りられます。800万の場合、貸付利率は3.0%~4.7%です。
しかしながら、アコム等の消費者金融系の場合、貸金業法の総量規制により総借入額は年収の1/3と制限があることにご注意ください。
- 多額のお金は借りられない
- 通常の住宅ローンよりも金利が高くなる
- 金額が多くなるにつれ審査が厳しい傾向にある(無担保のため)
住み替えローンを利用する
住み替えローンとは、現在住んでいる住宅を売却した際の残債+新居を購入するための資金分を併せて借り入れできる金融商品です。
え!?これいいじゃない!?
良い事ばかりではなくデメリットもあるので要注意!
デメリットは以下です。
- 原則的に売却と購入を同時に行う必要がある
- より高額な住宅ローンを組むことになりやすい
- 通常の住宅ローンよりも金利が高くなる
- 審査が厳しい傾向にある
まずは一定の収入があり審査が通ることが第一前提です。加えて売却と購入を同時……というのは簡単なようで難しいこともあるかもしれません。
ただし各種デメリットにも問題が無ければ、住み替えローンは良い選択肢の一つとなりそうです。
ダブルローンを利用する
ちょうど良いタイミングで自宅を売却&新居を見つけられれば住み替えローンも良いでしょう。しかし現実的には、そうそううまくいかないことも多そうです。
そもそも家自体、もしも告知義務となれば売りにくい状況だと思いますし。
ダブルローンは、旧住宅ローンを借りながら、もう一つ新しい住宅のローンを借りることです。
- より高額な住宅ローンを組むことになる
- 通常の住宅ローンよりも金利が高くなる
- 審査が非常に厳しい傾向にある
1つめのローンですでに返済があるところを、さらに借りるわけですからより厳しい審査となります。年収はもちろんのこと、最長でも80歳くらいまでに完済できる必要もあります。
しかし属性が高い人(経済力&社会的信用が高い人)にとっては、ダブルローンの方が気に入った物件を買いやすいでしょう。
金銭面で苦しい場合の最終手段の売却方法
というか、そもそも住宅ローンを支払うのが苦しい!
コロナ過においてこういった方も非常に多いのではないでしょうか。実は私もそうで、コロナの影響で収入がガクンと減りましたのでよくわかります。
ニュースで見ましたが、コロナ禍でこういった人がなんと8万人超えとも。そんな「住宅ローンを返済するのが難しい」という方には、別の売却方法があります。
競売→自己破産
売却方法というよりも、必然的に売却される方法ですが……。住宅ローンを一定期間延滞すると、債権が保証会社に移行します。一括返済ができずに放置すると、家は競売にかけられ、相場の7割近くで安く売られてしまいます。
その後残った借金を請求されても、当然支払うことはできません(そもそも払えるなら普通に売れば良いので)。
そこで裁判所に自己破産の申し立てを行い、借金の支払いを免除してもらう。そうすれば家も売れて住宅ローンを含めた借金の支払い義務も無くなる……という方法があります。
しかしながらデメリットもたくさんあります。気になる方は、専門家のサイトで詳しく調べてみてください。
- 裁判所に自己破産を認められる必要がある(支払不能であれば大抵通る模様)。
- 家は競売にかけられる
- 財産も現金化されてなくなる(一定額までは手元に残る)
- 後にローンやクレジットカードが作りづらくなる(5年~10年はブラックリスト状態に)
- 自己破産中は一定の資格が制限される(弁護士、税理士など複数)
- 連帯保証人に迷惑が掛かる(いる場合のみ)
- 自宅が競売に掛けられたことをご近所などに知られてしまう可能性
- 各種精神的苦痛がある
次項でご紹介する、任意売却の後に自己破産を行うことも可能です。
任意売却
自己破産は言わば借金を踏み倒すかたちです。法的に認められた制度とは言え、心理的にも躊躇される方も多いのではないでしょうか。
そんな方に有効な手段となるかもしれないのが任意売却です。
任意売却とは、住宅ローンの支払いが滞った後、競売になる前に任意の金額で売却することです。競売よりも高く家を売却できる可能性があります。
もちろんオーバーローンなら売却後に当然借金は残りますが、以下のいずれかを選択可能です。
- 自己破産をする
- 返済を行う
ここでは2で考えますが、当然一括返済では無理ですよね。しかし無理のない範囲で返済ができるよう、任意売却を委託する業者に交渉してもらうことが可能です。
一般的には、残債を月額5,000円~30,000円程度などに分割してもらえるようです。この金額であれば、別に賃貸を借りながらでも返済できる可能性が高まりますよね。
また、返済に困っていなくても任意売却は可能なこともあるようです。例えば離婚時などでも任意売却は行われていますので、気になった方は専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
- 銀行や保証会社等の利害関係者全員が任意売却に同意してもらう必要がある
- 住宅ローン契約から2~3年経過していないと応じてもらえないことも
- 強制的に売却される競売とはことなり、手間がかかる
- 売るまでには期限がある(売れなければ競売に)
- 家を売却後に残った借金はチャラにならず、返済する必要がある(自己破産する方法もある)
- 住宅ローンの延滞→任意売却の場合、最低5年はローン・クレジットが作りづらくなる
おまけ:誰かに貸すことはできる!?
ん!?売却せずとも、賃貸に出せば問題は解決するのでは!?
売却を検討していると、誰でもこんな考えが出てくるものです。私もそう考えました。
しかし現実には難しいように思います。
賃貸には出せる!?
出そうと思えば出せるでしょうけれど、住宅ローンの契約的にNGとなる場合があります。
契約書を見れば分かりますが、おそらくはご自身が住まう目的として住宅ローンを借りているのではないでしょうか。その場合は、賃貸に出すことは契約違反になる可能性があります。
ばれなきゃいい!?
現実的にはそうそうばれることもないようですが、秘密で行うのは絶対にお勧めできません。なぜなら、契約に違反したときのペナルティが恐いからです。
万が一、住宅ローンの一括返済を求められるなどされたらどうしようもありませんからね。
結局はすぐ引っ越されるかも
そもそも論ですが、自分が住みたくない家は人も住みたくない家である可能性があります。賃借人が「煙い」と感じれば、長期間借りることなく、すぐ引越しをされてしまうことでしょう。
私もそうだったのでわかりますが、賃貸は嫌なことがあれば簡単に引っ越せるのが魅力ですしね。
ちょこちょこと入居者が入れ替わるようでは、大家としては採算が取れるか安心できません。あまり良い方法ではないように思います。
礼金を高くすればいける!?もし上手くいっているケースなどがあればご教示ください。
まとめ
オーバーローン状態で家は売れるのか!?という問題について考えてみました。
方法はいろいろありますが、個人的には住み替えローンやダブルローンが利用できれば理想的かなぁという印象です。
そうでなくても任意売却などの手段もあり、やる気になれば私でも可能な気がします。任意売却して安い賃貸に住むか、田舎の格安中古物件を購入するなども楽しそうですね(そこでも煙被害に遭いそうですが(汗))。
まあ実際に行動に移すかどうかは別ですが、選択肢として知っておけたことはメリットかなと思いました。皆さんにも少しでも参考になれば幸いです。
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