薪ストーブで煙と臭いが出る原因を解説。被害を受けている側も知っておいた方が良い基礎知識

なぜ薪ストーブが臭う?煙と臭いの基礎知識

近所の薪ストーブが臭う。その理由はなぜ?

こんなに臭うのは普通なことなの?

この時期(冬)になると、ご近所の薪ストーブの煙と臭いを不快に感じている方もいらっしゃることでしょう。かくいう私もそうなのですが、もちろんそれには原因があります。

しかし結論から言えば、原因をパッと特定するのは非常に難しいもの。煙や臭いに繋がる原因は1つだけとは限らず総合的なものだからです。しかも外から完璧に判別するすべはありません。

ですが被害に遭っている方でも、基本的な知識として知っておくメリットはあります。例えば相手と話し合いをする際、こちらに知識があれば確認&提案できることも変わってくるのではないでしょうか。

というわけで本ページでは、薪ストーブ被害を受けている方へ向けて、煙と臭いが出る理由の一式を解説します。ご自身のケースではどれがあてはまっているのか、考える際の参考にしていただければ幸いです。

ヤマダ
ヤマダ

薪ストーブをご利用中の方も、初心者の方なら参考になる点はあるかもしれません。ただし具体的なテクニックは書いていませんので、心当たりのある項目があればご自身で深掘りしてみてください。

利用者の知識不足

まずは利用者の知識不足から、不適切な利用をしている可能性を見ていきたいと思います。

使い方が適切で無い、間違っている

薪ストーブはアナログな暖房器具です。エアコンのようにスイッチONで誰でも同じく使える訳ではありません。

薪ストーブには適した使い方がありますが、必ず人の手による操作が入るため多かれ少なかれ使い方に違いが出ます。中には自己流で使っており、適切で無いこともありえるでしょう。

煙を出しにくくする具体的なテクニックは薪ストーバーさんの情報豊富なサイトを見ていただくとして、当サイトでは注意が必要なタイミングのみご紹介します。

以下の3つのタイミングで失敗すると、煙と臭いが発生しやすいです。

煙と臭いが出やすいタイミング
  • 焚き付け時

    どうしても煙と臭いが出るタイミングです(私の周辺では20~30分前後)。この時間を極力短くするために、できるだけ早く庫内を高温にする必要があります。

    庫内の薪の量・大きさ・配置、着火等様々なテクニックがあるようです。

  • 薪の追加時

    薪の追加するタイミングや量・薪の大きさ・空気量が重要になってきます。これを誤ると、庫内の温度を下げてしまい、煙・臭いに繋がります。

  • 鎮火時

    早く鎮火させようと空気量を絞りすぎると、煙・臭いに繋がります。

薪以外のものを燃やしている

焚き付け時(火をおこす時)は、割り箸や紙・着火剤など薪以外のものを入れることはテクニックとして行われているようです。

ただ、紙は飛んでいくことがあるので賛否あります。我が家にも1度だけ黒い紙状のかたまりが降ってきたことがあります。

ですがそれら以外では薪となるもの以外を燃やしてはいけません。例えばプラスチックや食べ残し、ゴミ、ダンボール、農薬が付着した樹木、防腐剤や塗料が付いた建築廃材等など。これらを燃やすと人体にとって有害なガスが発生します。

こういった薪以外のものを燃やすのは、論外・問題外のレベルです。

なお、専用の薪でなくても、防腐剤や塗料などの化学処理がされていない無垢材なら燃やせます。 一見無垢材っぽく見せた集成材・合板もありますので油断できません。確実に問題無いものを判別して使用する必要があります。

薪の乾燥不足

薪は充分に乾燥させてから燃やす必要があります。生木の水分量は50%前後と言われますが、これを15~20%前後まで落とすのが理想とされます。

乾燥が足りず含水率が高いと庫内の温度が上がりづらく、不完全燃焼が起こりやすい。つまりは煙と臭いが出やすくなります。

この乾燥不足問題は、煙と臭いが発生する比較的大きな要因のようです。

充分に乾燥させるには、環境にもよりますが1年~1年半程度の乾燥期間が必要という意見が多いですね。しかしこれも使用者に委ねられているのが現実です。半年で使う人もいれば、2年置く人もいるくらいですので。

ヤマダ
ヤマダ

半年と2年では結構違いますし、保存の環境が違えば乾燥状態は違いそうなので結構難しそうです。水分計測器というのもありますが、そこまで気にする人はかなりの気遣いがある人ではないでしょうか。

住宅街では、その薪を置く場所も問題になります。11月~3月くらいまで使う分の薪数百キロを、1年前からそこに置いておくのは狭い土地だと事実上難しいと言わざるを得ません。

じゃあ薪を前年から大量に置いてないお宅は乾燥させてない?

……というのは早計です。すでに乾燥済みの薪も売っていますので、それに頼る住宅街の薪ストーバーさんもいると思われます。

つまりは、適切に乾燥させて薪を使っているかは外からでは分からないもの。利用者の裁量でどのような薪が燃やされるか決まるのです。

設備・設置の問題

施工不良

プロが行っていれば明らかな施工不良は少ないですが、実際には多少の“うまくない”設置をする業者もいるようです。薪ストーブに限らず、プロと言ってもピンキリですからそれも当然でしょう。

業者さんのブログなどで、他社の取り付けに苦言を呈していることも目にします。

また、注意が必要なのは薪ストーブの専門家でない人の取り付けです。たとえば大工さんやDIYが得意な人なら取り付けてくれることもあるかもしれません。

付けてあげるよ!これまでにもやったことあるし

しかしこういったケースでの不具合もあるようです。できるだけ名の通った実績のある業者に依頼したいものですね。

煙突の位置

当然のことですが、煙は必ず煙突の先から出ます。その先に隣家の窓がくるような設置であれば煙が出て臭いが発生するのは当たり前です。

実際には煙突の先に家が無くても煙が流れていくこともあります。その原因は煙突の位置に加え、以下の要素も大きく影響してきます。

  • 性能
  • 高さ
  • 形状

他にも近隣の建物や環境、風向きも影響しますね。しかしこれらは厳密に言えば「煙発生」というよりも「煙の流れ」の話になると思いますのでここでは詳しく触れません。いずれ別記事にて改めて解説したいと思います。

その他薪ストーブの故障

あまり無いとは思いますが、設備や本体に何らかの故障があれば、悪影響を及ぼす可能性はあります。

設置側はともかく、被害を受ける側としては外からは分かりません。

薪ストーブの性能

薪ストーブにも各社・各製品毎に性能の違いというものがあります。中でも排煙量の性能差が煙の発生に大きく影響を与えます。

低性能な薪ストーブを利用している

薪ストーブの排煙量の性能は、高性能なものであるほど当然煙を減らしてくれます。つまりは、有害物質など、臭いとして感じる物質を減らしてくれるのです。

しかしながらその排煙量の性能はピンキリ。例えばアメリカではEPAという環境保護庁が定めた排煙規制をクリアしないと販売ができないのですが、そのルールは1990年以降は触媒式で4.1g/h、非触媒式で7.5g/hでした(2020年からは2.0g/h)。

しかしながら、最上位機種は触媒式で0.3g/h~程度からあります。これは約13倍の排煙量の差。つまりは低性能な薪ストーブが利用されていれば、それだけ煙が出るということになります。

参考:日本は排煙量の規制は無い

先ほどはアメリカのEPAの規制の範囲内での排煙量の違いを挙げました。最大で約13倍の排煙量差でしたね。

ここは日本においてはEPAのような排煙量の規制はありません。つまりどんなに排煙量の大きい薪ストーブであっても利用可能です。

EPAの規制の中だけでも排煙性能には最大約13倍の差がありましたが、規制外も含まれるとどうでしょうか。規制の無い安物の薪ストーブを使用すれば、数十倍以上の煙が出ることは想像に難くありません。

どんなに上手な人が最高の薪を利用しても、本体が悪ければ煙は多く出てしまいます。いずれ日本にも排煙規制がされるはずですが、何十年後になるでしょうか。

あんなに煙の出る薪ストーブに制限は無いって日本は遅れてますね。車の排出ガス規制はあるのに!?

ヤマダ
ヤマダ

ですね。住宅街であれば、高性能なものを設置してもらいたいです。

メンテナンス不足

薪ストーブは他の暖房器具以上に、メンテナンスが必要です。その手間がかかることがかえって趣味としては良いものですが、怠ると煙や臭いに繋がることもあります。

薪ストーブ本体のメンテナンス不足

日常的なメンテナンスとして炉内の点検、灰の掃除、除湿、ガラス掃除、などがあります。

また、消耗品の点検・交換もあります。特に触媒つきの薪ストーブの場合、煙や臭いに直結する部品ですので、定期的な点検・交換は欠かせません。

触媒とは、薪が燃焼する際に出る煙を、再燃焼して煙や有害物質を減らすための重要な部品です。本来再燃焼には550度の高温が必要ですが、より低温で再燃焼できます。

煙突のメンテナンス不足

煙突はすすやタールがたまる場所です。すすやタールが詰まっていたりすると、ドラフト(煙の上昇)が悪くなり、煙突から出た煙が下に降りて来やすくなります。

煙突のつまりは煙道火災の原因にもなるので、定期的なメンテナンスが欠かせません。

中には自分でやる方もいるようですが、実際はかなり大変ですし危険も伴います。かといって業者に依頼するのも当然お金がかかる……。

利用頻度にもよりますが、煙突のメンテナンスは一年に一度程度とも言われます。しかし後述するフルメンテナンスと併せて、心理的に先延ばしにしやすい要素ではないでしょうか。

ヤマダ
ヤマダ

エアコンクリーニングを怠りがちな自分としては気持ちは分かりますが。

フルメンテナンスをしていない

何年かに一度、薪ストーブ本体から煙突までの、全体のフルメンテナンスが必要と言われます。もちろんこれは自分では出来ません。専門業者を呼んでやってもらうのでお金がかかります。

環境省では三年~五年に一度を推奨していますが、もちろん法規制はないので強制力はありません。何年に一度行うかは本人の判断です。

お金がかかることはできるだけ先延ばしにしたいのが人間ですので、放置している人もそれなりにいそうです。

ドイツには煙突掃除法という法律があり、年に一度清掃員が訪れて、煙突の詰まりや一酸化炭素発生の検査・清掃を行うそう。歴史的な背景もあるようですが、忘れないで済みそうですね。

まとめ

薪ストーブからの煙・臭いが出る原因を徹底的に考えてみました。しかしながら最初に書いたとおり、どれが原因かは外からは分かりません。

かといって「薪乾燥させてますか」「高性能なの使ってますか」「二重煙突ですか」等と質問攻めにするのは現実的に難しいです。おそらく嫌な印象を持たれるだけでしょう。

話をする中で、自然に聞けたらベターですね。「薪を仕入れるの大変じゃないですか」「どうやって仕入れてるんですか」「へぇー、では1年くらい乾燥させた物を?」「なるほど、もう少し乾燥させたらまた違うのですかね」等など。

自分に知識があるからこそ引き出せる会話・提案もあると思います。薪ストーブ利用者との会話の際に少しでもお役に立てれば幸いです。

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