何かにつけて、臭い・改善してほしいと言われる。手打ちにしてくれない。もしかして隣人は神経質なのでは!?
薪ストーブ利用にてクレームを受けたことがある方で、このように思われる方もいるのではないでしょうか。
問題が解決せず長期に及ぶと、自分や薪ストーブは悪くない、相手に問題があるのではないか……という疑念が生じてしまうのも無理はありません。そう考える方が楽ですしね。
しかし被害を受ける側である私から見れば、誰でも臭えば気になりますし、刺激に対し敏感にもなるもの。そして臭いが続く限り、その反応は自然と少しずつ強固になっていくものだとも思うのです。
私が主張したいことをまとめるとこうです。
煙・臭いに対し敏感になるのは
「煙という刺激に対して正常な反応を繰り返した結果」×「人間関係」
元から神経質な性格かどうかはまた別の話。
賛否あるかもしれませんが、私は自身の経験&知識からそう考えます。
本ページでは、被害者側が煙・臭いに対し敏感になってしまう心理・経緯をまとめてみました。
読者対象は、「隣人が神経質かも!?」と一度でも頭をよぎったことのある薪ストーブ利用者さんです。周辺住民が神経質になるには真っ当な理由があるよ、ということを知っていただきたく書きました。
本記事を通じ、周辺住人とのコミュニケーションに活かしていただければ幸いです。
そもそも神経質ってなんだ!?
そもそもの定義があやふやだと、説明全体がぶれてしまいます。さらにはそれを読む側も解釈が変わってしまうことでしょう。
ですのでまずは本ページでの「薪ストーブ×神経質」ということを明確にしたいと思います。
「神経質」の意味
復習も兼ねて用語としての「神経質」を見てみます。今回はgoo辞書(デジタル大辞泉)から辞書を引いてみました。
1. 情緒的に不安定で、わずかなことにも過敏に反応して自分を病的な状態だと思い込む気質。
2. 細かいことまでいちいち気に病むさま。「見かけによらず―な男」「他人の評価に―になる」
引用元:神経質(しんけいしつ)の意味 – goo国語辞書
まあ、なんとなく知っていることですが、辞書を引くと明確になって良いですね。
「薪ストーブの神経質」とは!?
薪ストーブ問題に当てはめると、私なりの解釈ですが以下のような感じになるでしょうか。
- わずかな煙にも過敏に反応して迷惑だと感じる気質
- 煙や薪割りなど細かいことまでいちいち気に病むさま
要は「わずかな煙」や「細かいこと」に反応して、薪ストーブ問題の改善を求めてくる存在。利用者さんから見れば厄介な存在となるでしょうか。
そもそも主観である
しかしそれには主観が入りこむ余地がありまくりなことに注意が必要です。薪ストーブを利用する側は「わずかな煙」「細かいこと」とそう思うかもしれません。しかし実際に煙を吸う被害者側は真逆に考えているかもしれないのです。
公平な目で見れば、どちらの言い分が正しいかを簡単に結論づけることはできません。
お互い利害が相反しますから、結局は以下の様に考えてしまいがちです。
これくらい常識の範囲だと思うけど、相手が神経質?で要求が多すぎる。
実際に煙は結構出てるし、我慢もしてる。私は神経質とは全く思わない。
本ページでの神経質の定義
「わずかな煙」や「細かいこと」等の主観が用語の定義内にあると、ややこしくなってしまいますね。
そこで本ページでは、本来の意味の「神経質」は置いておき、単純に「神経質=煙に敏感に反応すること」と定義したいと思います。
以後、本ページではこの前提でお読みください。
【実例】神経質には“なるもの”
たしかに、もともと神経質でクレーマー気質の人もいると思います。しかしながら、こと薪ストーブに関しては、そうでないケースも数多く存在するのではないかと私は考えています。
冒頭で述べたとおりの要因さえ揃えば、誰でも自然に神経質になる(というか育っていく)ものと考えます。
その理由は、まさに身をもって少しずつ煙に敏感になった経緯があるからです。まずは私の実体験をお聞きいただけますでしょうか。
最初はさして気にならなかった
私は、当初あたりに漂う臭いが薪ストーブの煙だとは気がつきませんでした。「野焼きが酷い地域なのかなぁ」という程度。
原因を突き止めることに(忙しくて)興味がなかったのと、特に夜に臭かったので分からなかったのです。真っ暗で何も見えませんしね。
もちろん強く臭うこともありましたが、野焼きは慣れていたので迷惑だなぁとは思いながらも、あまり気にしませんでした。少なくとも私はこの時点で煙に敏感では無かったのは確実です。
原因が分かり、丁重にお願いした
ある日、偶然昼間にモクモクと立ち上る煙を見かけたことで、臭いの原因が薪ストーブだと分かりました。迷いましたが、一定期間我慢&頻度等の状況を確認した後、丁重にお願いしに行きました。
その時は快い対応をしてくれたこともあり、改善することを期待していました。
まだこの時点では私はそれほど煙に敏感ではなかったと思います。後述しますが人間関係も悪くなっていなかったことが大きいでしょう。
嫌なことがある×反応・学習を繰り返す
ある日、日中に酷く煙い時があり、洗濯物が台無しになったことがありました。最初から洗い直しです。この失敗から「煙くなったらすぐ取り込まなければならない」と気づかされました。
以後も定期的に同様のことがあったので、迅速に煙に気がつかなければと思うようになりました。少しでも煙くなり始めた時点で洗濯物を取り込むことで、被害を最小限に抑えることができたからです。
痛みを避けるための、条件反射みたいなものです。
同様に、庭作業をしている時に焚き付けが始まった際、無理して作業を続けていたら服や髪が燻製をした後のようになったことがありました。その失敗から、臭いだしたら無理せず家に入る方が賢明と学習しました。
部屋に入っても、24時間換気のため給気口から臭いは流入します。煙が酷いときには室内の臭いは2時間近く消えません。しかしある時、すぐに空気清浄機を強運転にすれば、何もしないよりも大分早く空気が改善することを学習しました。(→背に腹は代えられないので2台追加で買いました)
また、焚きつけ時に料理をすると、24時間換気×換気扇で煙を大量に取り込むことを学習しました。
まとめるとこうです。
全て合理性がある反応ですよね。基本は手痛い失敗から学んだことです。
痛みが強いほど、その反応が強く心に刻み込まれます。
望まずともさらに反応を繰り返し、強化される
薪ストーブの利用は10月中旬~4月くらい。特に冬場は毎日使われます。その間、何度も何度も煙くなり、臭いに対する反応を繰り返してきました。
これは、臭いという刺激に対する「反応」の「強化」に他なりません。
しかもその行動を行う際には、酷く残念な気持ちが伴います。人間、感情が伴うことは強く身体に刻み込まれるものです。
とりわけ人間は「痛み」「不快」の感情が強力なことは誰もがご存じでしょう。
さらにはそんな状況下において何度か改善をお願いしに行った際、耳を疑うような発言をもらっています。当然人間関係も悪化していきました。
- 学習&反応(強い感情や痛みが伴う)
- 冬場は毎日×年数
- 人間関係の悪化
これらが掛け合わさることにより、年月と共にさらに煙に対する反応が強化・敏感になっていきました。
なるべくして神経質(煙に敏感)になった
今では、野焼きと薪ストーブの臭いも分かります。燻製っぽい臭いがついている場合が薪ストーブだからです(櫻チップの燻製が好きだったのでよくわかります)。
急な臭いを感じたら焚き付けが始まった合図。すぐに先ほどの「臭いだしてきた時の反応」を行い、「痛み」を最小限にするよう身体が動きます。
焚きつけ時はさらに強く臭ってくるので、できるだけ早く気づいた方が良い。過去に手痛い経験をしているので、嫌というほどよく分かっています。
そんなことを繰り返すうちに、煙への反応に敏感になりました。なりたくなんて無かったですが……。
「神経質=煙に敏感に反応すること」という定義の場合、私は「神経質」だということになります。ですが、最初からそうだった訳ではありません。
繰り返し繰り返し、ただ冬場毎日やってくる煙に対処していただけ。
条件さえ揃えば、誰でも同じようになりえるのではないでしょうか。
わずかな煙でも敏感になってしまう理由を、かみ砕いて考えてみる
このような経験から、誰もが最初から神経質ではない。煙という刺激に対して正常な反応を繰り返した結果×人間関係である。
……という私の主張も、まあ分からなくもないのではないでしょうか。
そこでより分かりやすくするため、これらの要素を以下の様に、もう少しかみ砕いて考えてみたいと思います。
- 煙はそもそも刺激物質
- 煙の強さ
- 反復性
- 突発性
- 人間関係
一つずつ見ていきましょう。
煙はそもそも刺激物質
まずは当たり前の事を書いてしまいますが、そもそも煙は刺激物質です。鼻の粘膜に入り込めばツンとしますし、吸い込めば息が苦しくなる人もいます。
物質的に刺激があれば、それに反応するのはおかしいことではありませんよね。蚊に刺さされたらかゆくなる→かきむしるように、自然なことだと思うのです。
煙の強さ
煙(臭い)の強さは、言い換えれば痛みの強さと言っても良いと思います。また、付随すること=例えば洗濯物に臭いが付き洗い直しになったなどの手痛い経験も付随する痛みです。
人間、「痛み」はとにかく避けたいもの。
空気清浄機を付けたり、洗濯物を取り込んだりなど、それくらいで痛みが緩和されるなら喜んでする人は多いでしょう。そしてその行動は、繰り返すごとに強化され、反応も敏感になるわけです。
つまり強い臭いがある限り、誰もが神経質になる可能性があると考えます。
反復性
とは言え、必ずしも強い臭いだけで神経質になるわけではないとも思います。弱い刺激でも反復性があればそれは影響の大きなものになるからです。
分かりやすい例えを挙げれば、雨垂れ石を穿つとも言いますよね。本来の諺の意味とは異なりますが、雨垂れのような弱い力でも反復性があれば強い力を持つのです。
実際に水滴をポタポタと頭に垂らす拷問も史実にあったと聞きます。これが何度も行われると、頭を殴られるほどの衝撃を感じるというのですから驚きです。
実害になるほどの煙ではないからいいでしょ!?
……というのもそれと同じかもしれません。ほんわか臭う程度でも、住宅地ではかぎなれない臭いです。
バーベキューの様に月数度ならまだしも、冬場、毎日毎日繰り返し強制的に嗅がされれば、それは雨垂れ以上になり得ます。例え数年でも、強い刺激と感じる可能性があるでしょう。
突発性
いつ臭ってくるか分からない。だからこそ、臭いに敏感になる大きな要因となります。
これまでにも書いているとおり、臭ってきたら洗濯物をしまうなどの対処をしないといけません。遅れた時の悲しみを知っている人ほど、反応が強くなるのは当然です。
例えば私の場合、冬場はいつもアンテナを張っているような気がします。もちろん、そうなりたくてなったわけではありません。
ヤマダ妻は洗濯物を取り込み忘れて臭くなると、とても悲しい顔をします。それを見たくないがゆえに私が気にかけているということもあるかもしれません。
すでに近いことは述べたとおり、突発性のあるものに対する反応というのは、繰り返すほどにその回路は脳の中で強固になります。つまり年月と共に、誰でもその反応はキレを増す=本ページでいう神経質となりえるのです。
人間関係
これは非常に大きな要因となるのではないでしょうか。
人間の心理として、好きな人がすることは気にならないというものがあります。つまり人間関係の良い・悪いも影響するということです。
例えば、大好きな人(身内やパートナー)が吸うタバコの煙は、そこまで気になりません。しかし、大嫌いな人が吸うタバコは最強に臭い、嗅ぎたくないと感じるものです。感覚的にわかりますよね。
以下、大学教授の文章を引用します。
「迷惑学」を提唱する金城学院大学の北折充隆教授(社会心理学)は「相手に『好意』がある場合、迷惑とは感じにくくなる」と説明する。逆に言えば、相手が見知らぬ人や苦手な人の場合、同じことでも「迷惑だ」と感じやすくなる可能性があることになる。
外国人との騒音トラブル、解決のヒントは「好きな人のたばこは気にならない」
現実問題として、日頃から嫌なことをされている相手に好意を持つことはできません。被害が長期に渡れば、誰だって強い嫌悪感を持ちます。
特にコミュニケーション時に失言などがあれば一発で険悪となり得ます。
相手に対し嫌悪感を持てば、引用の通り同じ煙でも迷惑だと感じる事に。そして迷惑と感じればその煙も、嗅ぎたくない不快な臭いになる。
ひいては神経質にも強く影響を与える要因となるでしょう。
個人的には人間関係の与える影響はとても大きいと感じています。薪ストーブはコミュニケーションが大事、とよく言われますが、本当にそうです。
周辺住民を神経質にさせにくくする方法
私の様な者が書くのは不思議なような気もしますが(汗)。ですが、こうしてくれたら神経質になりづらかったであろうことをまとめます。
以下の2つの要素が重要と考えます。
- 人間関係を良好に保つ
- コミュニケーションをとる
- 協力する姿勢を持つ
- 煙・臭いを抑える
人間関係を良好に保つ【コミュニケーションをとる】
コミュニケーションをとり、人間関係を良好に努めることは常に良いことです。逆に言えば、何も言われないからと黙って住宅地で薪ストーブを遠慮無しに使い煙を出し続ければ、人間関係は自然と悪化します。
私がコミュニケーションの際に重要だと思うのは、相手の言い分を聞いてあげることだと考えます。
「いやそうじゃなくて」「そんなはずはない」「問題無い」等と拒否の姿勢をとらずに、まずは言い分を常に聞いてあげること。そうすれば相手の不満も溜まりづらいでしょう。
加えて注意点としては、下手なことを言わないことだと思います(もちろん被害者側もですが)。
下記ページにまとめていますので参考にしてください。
人間関係を良好に保つ【協力する姿勢を持つ】
私が一番衝撃的だったのは、ある日手のひらを返したように「薪ストーブは煙が出るのは仕方ない」と開き直られたことです(=敵認定 or 神経質認定されたということでしょう)。
やれることを全てやってからであればまだしも、そうでなければ一方的に突き放す言葉です。感じが良い訳がありません。
とにかく協力する姿勢を持つこと。そして姿勢だけではなく実際に行動に移すことで、相手の不満も減ります。
煙・臭いを抑える
究極的には、これに尽きると思います。
これまでに書いたとおり、強い・弱いに関わらず毎日のように煙が出ているということは、それだけで周辺住民にとっては痛みです。
月日とともに神経質になる可能性が高く、人間関係もうまくいきません。
薪ストーブは性質上、どうしても煙は出ます。月一などであればまだしも、住宅地で毎日煙を出すことに許容できる人はそう多くないでしょう。
そのため利用方法の改善などは根本的な対策とはならないかもしれません(むしろ住宅地なら基本的な対策はできていて当たり前なはずなので)。
住宅地で利用する際に最も効果的な対策は、基本的な対策を全て行った上での排煙処理装置の導入だと思います。
詳しくは以下のページもご覧ください。
排煙処理装置を着けたからといって100%改善するとは限りませんが、50%前後程度の焦げ臭をカットしてくれるというエビデンスもあります。
また、「そこまで大層なことをやってくれた」という事実も良い影響を及ぼすでしょう。
ですので早期の排煙処理装置の導入は、周辺住民を神経質にさせないための有力候補となると考えます。
まとめ
「神経質」となるには理由があります。むしろ真っ当な反応であることを本ページではご紹介したつもりです。
ここまでお読みいただいた上で、冒頭で述べた「煙という刺激に対して正常な反応を繰り返した結果×人間関係」ということに納得いただけたでしょうか。
私の考えですので、全員に納得いただけるとは思っていません。
しかしもし納得いただけた方が一人でもいらっしゃいましたら、参考にしていただければうれしいです。
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