本ページでは、具体的な薪ストーブの利用方法を見直し、以下の2点を改善するのが目標です。
- 煙の発生を減らす
- 煙の影響を減らす
これにより、住宅地でも薪ストーブを許容してもらえる可能性が向上します。
それでは見ていきましょう。
適切な使用が出来ているか確認する
薪ストーブ販売業者さんが書いている内容と大差無いと思いますが、復習を兼ねて基本的な対応が出来ているかを見ていきましょう。
これらは住宅地で薪ストーブを使用するなら最低限の内容です。むしろできていて当たり前の内容となります。
排煙の少ない薪ストーブを使う
住宅地では、安物の薪ストーブは適しません。できるだけ排煙の少ない薪ストーブを使うことが望まれます。
でも、EPA認証の薪ストーブでも煙出るんでしょ!?
それはそうなのですが、より高性能なものの方が比較的煙は少なくなると考えられるからです。住宅街では、最低でも二次(三次~)燃焼や触媒などを使った高性能なものを利用するのが基本です。
適切な煙突を利用する
まず高さですが、近隣宅よりも低い煙突などはもっての他です。
特に平屋住宅の場合、どうしても2階建て住宅よりも屋根が低くなりがちなので、そもそも住宅密集地では難しいのではないかと考えます。
また、煙突自体も、断熱二重煙突などの高性能なものを利用することが望まれます。
その他横引きが極端に長いなど、設計に問題がある場合は薪ストーブ業者に相談しましょう。
薪をきっちり乾燥させる
乾燥が甘い薪は、水分により上手く燃えずに多くの煙が出ます。最適な水分量は15%~20%程度と言われています。
……本ページの対象である善良な利用者さんにとっては、すでにご存じですよね。おそらくはすでに乾燥させた薪を使っていらっしゃると思います。
ただ、薪ストーブ関連のサイトを見ると、乾燥させておけば万事OKかのごとく解説されています。燃焼効率の観点からすればそうですが、煙に関しては住宅地では万事OKではありません。
木を燃やす訳ですから、どんなに乾燥させた薪でも、煙(臭い)は出ます。ですので以下のような正しい認識を持つ必要があります。
- 乾燥が甘い薪→大量の煙が出る
- 適切に乾燥した薪→煙を最小限にできる(出る)
最小限にできるといっても、どんなものでも燃やせば普通に煙は出ます。
ですので、住宅地では薪の乾燥は最低限のマナーであり、根本的な解決に繋がるわけではないことに注意が必要です。
きちんとドラフトさせる
ドラフトさせることで、より高い位置で煙を拡散させることが可能です。ひいては生活エリアの煙の濃度を下げることに繋がります。
以下も参考にしてください。
ちなみに住宅が第三種換気の場合、24時間換気の排気が強すぎるとドラフトに問題が出ることも考えられます。
私は所有者ではないのでテクニカルなことは分かりませんが、以下なども試す価値はあると思います。これは業者さんにも相談してみてください。
- 焚き付け時・薪追加時は換気扇を付けない
- 焚き付け時・薪追加時は24時間換気をオフにする
- 外気導入をする
煙突清掃・定期メンテナンスをする
煙突の清掃・定期メンテナンスを怠ると、煙突内で煤・タールが溜まりドラフトに影響を与えます。また、煙道火災の原因にもなるため要注意です。
1年に1度、シーズン前にメンテナンスするのが良いでしょう。
当然ご存じとは思いますが、知ってるけどやってなかった……という方もいるのかなと思いまして。
正しい使い方をする
私は利用者でも専門家でもありませんので、ここでは具体的な方法は控えますが、正しい使い方をすることで煙を最小限にすることが可能です。
それが出来ていない・または出来ているかどうか分からない場合は、対策が必要になります。
最低でも、不完全燃焼を起こすことは絶対にしないようにしましょう。不完全燃焼の煙は凶悪で、火事かと思うほどの煙と臭気があります。住宅地では一発アウトクラスで周囲から白い目で見られます。
例えば夜寝る前に薪を詰め込んで空気を絞る……などの使い方は絶対に止めましょう。山奥でやっている方の情報が、住宅地で通用するとは限らないのが薪ストーブです。
クレームを防ぐためのチェックリスト&アイデア
ここからはさらに突っ込んだ内容に進んでいきます。
薪の水分を正確に測ってみる
中でも燃料である薪の質は、煙の発生に大きく影響を与えます。
充分に乾燥させて……というのは先ほども書きましたし、一般的にもよく言われます。しかし、本当に乾燥しているでしょうか?
1~2年放置させておくと、説明を受けました。
どこのサイトを見ても1~2年放置させておけば大丈夫というのが通説ですが、本当にそうでしょうか。私には結構な変数が存在するように思います。
- 住んでいる地域の違い
- 気候の違い
- 気温の違い
- 湿度の違い
- 保管状態の違い
- 雨ざらしかそうでないか
- 割って保管しているか
- どのくらいの太さで保管しているか
- 浮かせているか、直接置いているか
- 直接おいている場合の素材(地面・コンクリ等)
- 木自体の性質の違い
業者さんや愛好家さんはいろいろと情報発信されていますが、同じ環境でないと一概に言えないように思います。
本当に薪がきちんと乾燥しているかは、素人にはなかなか分かりませんよね!?
ですので実際に測ってみてはいかがでしょうか。
どのくらいの水分量なのかを測定するアイテムは、Amazonで木材水分計などで検索すればいくらでもでてきます。
そんなに高いものではありませんので、買って実際に測ってみると確実です。
薪(木)を変える
薪と一括りに言っても、薪の元となる木が違えば、木の性質(油分や香り等)にも違いがあります。ひいては周辺の印象にも影響するかもしれません。
あくまで個人の感想ですが、私はへんに香りのするような薪は特に不快度が高かったです。弱い煙でも、明確に鼻につくからです。
逆に、あまり香りが主張しない薪の場合、野焼きが強くなった感じでまだましでした。野焼きも臭いことには変わりませんが、それは慣れているからでしょう。
これに関しては素人には難しいので、一度薪の販売業者に相談してみてはいかがでしょうか。
プロに使い方をレクチャーしてもらう
「薪ストーブを正しく使えている」これはとても抽象的です。
少なくとも「自己流で正しく使えている」……という状態は本当に正しいかなど分かりません。薪ストーブは、エアコンのようにポチッとすれば誰でも同じように動作するものとは訳が違うからです。
ひいてはテクニック次第で煙の出る量に大きく違いが出ると言われます。
実際、我が家の周囲には、煙が少ない&焚き付けも短時間で終わる家と、その逆の家があります(もちろんテクニック以外の要因もありますが)。
ですので自己流で利用せず、信用の置けるプロに手取り足取りレクチャーしてもらうことが重要と思います。
設置時に教えてもらったけれど……。
1度の説明で完全に模倣できるほど薪ストーブが簡単であれば(またはあなたが飲み込みが良ければ)良いのかもしれません。
自信のない方は、ある程度慣れた後にもう一度レクチャーを受けることで、新たな気づきがあるかもしれませんよ。
また、設置時に利用方法を説明してくれる人がうまい人とは限らない可能性もあります(使える≠上手い)。定評のあるプロをネットで探してみるのも良いかもしれませんね。
出張費も加えて支払えば、大抵の方は喜んで来てくれるはずです。
煙突を「本当に適切な高さ」にする
先ほどのとおり、近隣宅より低い煙突は論外です。その場合、少なくとも煙突は高くしておいた方が良いです。
じゃあ、うちは周囲の家の屋根より高いからこの点は安心だ
これがそうとは限りません。国の資料を見ると、排出口が地上より15m以下の場合、周辺建物の影響を受けて煙が降下する現象が起こるとされます。
つまり、近隣に迷惑をかけづらい煙突の高さとして15m以上。さらに理想は以下の例では20m以上必要になります。
さすがにそれほど煙突が高いお宅はまずないでしょう。ですから手放しで「大丈夫」とは言えないのが現実です。
これについて詳しく知りたい方は、以下ページをご覧ください。
この前提で考えると、この機会に煙突を高くしようと検討する場合、ちょっとやそっと高くしても、抜本的な効果までは見込めない=問題が解決しない可能性もあります。
実際、私は交渉の末に煙突をちょっと高くしてもらうことに成功しましたが、体感ではよく分かりませんでした。
ですので1mなどちょっと高くするよりも、やるならググっと高くすることをお勧めします。
すすとり君Homeを利用する【お勧め】
大都会、例えば東京都内の住宅・お店の密集地にある薪釜ピザ屋さんは、問題無く営業できています。日中~夜まで、それこそガンガンに焚いているはずです。
そこには仰々しい高さの煙突だってありません。
なぜそれが実現可能か考えてみましょう。
それは事業者が大変気をつけて使っているから……ではなく、排煙を処理する仕組みを導入しているからです。
そんな業務用で実績のある製品を小型化し、薪ストーブ用にしたのが「すすとり君Home」という製品です。こちらを使えば、おおよそ半分以上の焦げ臭を除去することが可能とされます。
ですので本ページでご紹介する中でも非常に効果的と考えられます。
詳しくは以下の解説ページもご覧ください。
これを使えば、住宅地で平屋での薪ストーブも使える可能性もあります。
ただ、あくまで可能性の話です。苦情・クレームは相手あってのこと。例え焦げ臭が半分になっても、必ずしも問題が100%解決するかはわからないことには注意が必要です。
しかしながら住宅地で薪ストーブを使うなら是非推奨します。
利用タイミング・頻度を変える
薪ストーブの利用タイミング・頻度を変えることで、周囲が迷惑と感じる度合いを減らすこともできます。
煙を減らす努力と並行して行うと効果的でしょう。
これらの施策の多くは、自己判断せず、苦情・クレームをしてきた当人と話し合い・良好なコミュニケーションの上で検討してみてください。
しつこいほど書きますが、コミュニケーションが前提として重要です。
風の強い日には使わない
風の強い日には、思いもよらない方向に薪ストーブの煙が流れます。時には真横に一直線に流れていく煙を目にすることも。また、北に行ったり、南に行ったり、流れは完全に風任せになります。
つまり思いもよらず、人に迷惑をかけてしまうことも意味するのです。
時には煙の逆流などもあるようですし、そもそも風の強い日には無理に使わない方が良いでしょう。
悪天候時以外の日中の利用を避ける
良いお天気の日に薪ストーブを付ける人が、私の近隣でもいます。洗濯物に臭いが付くので、これを不快に思う人がいることはご存じでしょうか。
洗濯物が干されないような悪天候時(雨・雪)以外は日中の薪ストーブ利用を避ける。これだけでも、心情的には全然違います。
利用時間を変える
住宅地の薪ストーブは、時として思いも寄らない迷惑をかけていることがあります。
- 臭いで夜寝られない
- 臭いで朝起こされる
- 料理&食事の時間に部屋が臭くなる
- お風呂から出てさっぱりしたら家中臭い
例えば1,2は、ちょうど早朝や夜に焚き付けを行うことで起こりえます。早朝や夜に焚き付けを行うことが良しとされている風潮がありますが、一概には言えません。
臭いで寝られない・起こされるというのがどのくらい不快なものかは、想像を絶するほどです。
以下のページもご参考ください。
また、焚き付けと近隣が料理をするタイミングが重なると、換気扇により周囲の家では大量の外気を吸い込んでしまいます。
つまりは煙臭い部屋で食事をすることに繋がります。私も何度も経験していますが、ひどく惨めで残念な気持ちになるものです。
利用頻度を変える
薪ストーブの何が問題かというと、シーズン中毎日のように使われることです。住宅地で毎日煙を出すのはどうしても迷惑と感じやすいです。
例えば、もしもあなたの隣人がバーベキューをシーズン中、毎日のようにしだしたらどう思いますか?ちょっと迷惑ですよね?でも週1ならどうでしょう。月1なら……?
このように、住宅地では頻度によって許容が変わります。
その場所で相応しい頻度で薪ストーブを使うということであれば、しかたないなと思ってくれる可能性もあるかもしれません。
どれくらいの利用頻度なら相手が許容(はたまた妥協)できるかは、相談してみると良いでしょう。
以下ページもご参考ください。
利用月を決める
寒くもない地域で薪ストーブを使うことに、理解ができないという人は少なからずいます。迷惑と感じている人は特にです。
寒い地域なら分かるけど、ここはそんなに寒くないでしょうに。なのに10月~4月まで薪ストーブやるなんて完全趣味でしょ。
もしもあなたがお住いの地域が、東北やその他寒冷地ではない場合、利用時期を制限することで理解を得られる可能性があります。
感覚は人により&地域により異なりますが、個人的には標準的な地域なら12月~3月くらいならまだ分かるな、という感覚です。
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